徳島県の音楽事業に関わる音楽プロダクション「アンサンブル・セシリア」(東京)の川岸美奈子代表取締役(57)が法人税法違反容疑で東京地検に告発された問題で、音楽事業予算の県のチェック体制が十分でないことが2日、分かった。近年、事業費が膨らむ一方で、細かな部分は委託した業者任せになっている実態が浮き彫りになっている。

 県とくしま文化振興課によると、川岸氏が関わる「とくしま国民文化祭記念管弦楽団(とくしま記念オーケストラ)」の演奏会予算は過去の事業費を参考に、編成規模などを勘案して算出する。同課は「演奏料など細目ごとの適正額を毎回検証することは難しい。前例と比べて高額でなければ適正だと判断している」と説明する。

 県は記念オーケストラ発足以前にも東京交響楽団の演奏会を度々開催しており、この際の事業費が現在の基準となっている。しかし、県とくしま文化振興課は当時の算出根拠を「分からない」と回答。東京交響楽団も、楽団員の報酬や公演の経費について「公表はしていない」とする。

 県は多くの場合、県文化振興財団を通じ徳島市のイベント会社に総枠の予算を提示。この業者が演奏料など項目別に積算した見積書を作成する。県によると「県内にほかにできるところがない」との理由で業者とは随意契約をしている。

 業者が川岸氏とも連携し積算しているとみられるが、同社は「取材には応じられない」とする。また川岸氏のプロダクションや本人に取材を申し込んでいるが、2日までに返答はない。

 音楽事業費は県内の文化団体などでつくる「文化立県とくしま推進会議」が積み立てている基金などから支出されている。基金の使途は議会の議案に盛り込まれず、十分なチェックを受けていない。

 徳島大大学院の石田和之教授(財政学)は「臨機応変に事業を進める目的で基金を活用したり財団を通して運用することは一般的な手法だが、チェック機能が働くよう予算の流れをオープンにしておくことが大切。財団に音楽業界の知識を持つ人を置くことも一つの方法かもしれない」と話している。