出産時の不適切な医療措置が原因で男児が視覚や聴覚に後遺障害を負ったとして、滋賀県の40代の母親と男児(11)が徳島市内の産婦人科医院を運営する医療法人を相手取り、約6800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、徳島地裁であり、川畑公美裁判長は訴えを棄却した。

 判決理由で川畑裁判長は「医師の判断に注意義務違反があるとは言えず、医療行為にも過失があったとは認められない」と指摘。後遺症と因果関係はないとした。

 判決によると、母親は2008年7月、腹部を圧迫して男児の出産を早める「クリステレル胎児圧出法」の措置を受けた。男児に低体温などの症状が現れ搬送先の徳島市内の病院で頭に血腫が見つかり、別の病院で血腫の除去手術を受けた。

 母親の代理人は「不当な判決。控訴も検討する」。医院側は「病院には過失がないと判断しており、適切な判決だ」とした。