古酒を造るため、かめに泡盛を注ぐ島袋顧問(左)と佐藤代表取締役=阿南市吉井町

古酒を造るため、かめに泡盛を注ぐ島袋顧問(左)と佐藤代表取締役=阿南市吉井町

 阿南市吉井町原の古民家を改装したサテライトオフィス(SO)「屯(たむろ) はる」で3日、沖縄特産の焼酎・泡盛の古酒造りなどを学ぶ体験会が開かれた。同県名護市の「山原(やんばる)島酒之会」の島袋正敏(せいびん)顧問(73)らが、世代を超えて引き継がれる古酒造りでは「つなぐ意識」が大事にされていることを紹介。約20人の住民らが泡盛を味わいながら、地域の伝統継承の大切さについて理解を深めた。

 島袋顧問らが泡盛の歴史や、貯蔵年数の異なる古酒を古いかめに少量ずつ継ぎ足して熟成させる「仕次ぎ」といった独自の製法を紹介。若い酒と混ざることで古酒が活性化し、芳醇(ほうじゅん)さが増す仕組みを解説した。

 沖縄各地にはかつて300年ものの古酒があったことにも触れ、「昔は息子や孫の世代につなぐことを考えて造っていた」と話した。その上で「全国各地には大事なものがたくさん残っている。百年先を見据えて、自分たちに何ができるか考えることが大切だ」と訴えた。

 参加者は島袋顧問の指導で、かめに約30リットルの新酒を注ぎ、古酒造りを体験した。20年ものの泡盛も振る舞われ、杯を交わした。加茂谷公民館の日下旭(あきら)館長(72)は「地域の祭りなどの伝統文化を次世代に残す意識が大事だと、再認識した」と話した。

 加茂谷地区にSOを置くIT企業、ハノイ・アドバンスド・ラボ(東京)の佐藤道明代表取締役(51)が昨年秋に訪れた名護市で、古酒の普及に取り組む島袋顧問の考え方や古酒の奥深さに感銘し、企画した。