インターネットサイトの利用料や登録料名目で高額な金銭をだまし取られる架空請求詐欺の被害が、徳島県内の若年世代に広がりつつある。今年発生した19件(6月2日時点)のうち10~30代が被害に遭ったのは8件と、過去最多ペースとなっている。プリペイドカード式の電子マネーで支払わせる手口が目立つ。県警は「高齢者だけ でなく若い人も油断せず、不審電話やメールには対応しないでほしい」と呼び掛けている。
捜査2課によると、2012~17年(6月2日時点)の架空請求詐欺の被害件数の推移は《グラフ》の通り。12~16年の5年間で7倍に増加し、いずれの年も高齢者(65歳以上)以外の被害者が半数を超えている。
14年からは被害者の約4割を10~30代の若年層が占めるようになった。県警は「スマートフォンの普及で通販や音楽配信などのネット取引が増加したことを背景に、ネットに親しむ若い世代が狙われるようになった」とみる。
詐欺グループは15年ごろから、現金を介さずに決済できるプリペイドカード式の電子マネーを悪用するようになった。メールや電話で「アダルトサイトの利用料や登録料が未納」などと不安をあおってコンビニでカードを購入させ、その番号を伝えるよう要求する手口で、17年は既に13人(うち10~30代3人)が被害に遭っている。
カードがコンビニで1枚5千~5万円程度で販売され手軽に手に入ることや、金融機関を介した取引に比べて追跡捜査が難しい特徴を逆手に取っている。
詐欺グループに伝わったカードの番号は、電子マネーの権利を売買できる専用サイトで現金化されているとみられる。
5月下旬、徳島市の20代の男子大学生は、サイトの登録料名目で34万円をだまし取られた。スマホに「債権管理会社」からメールが届き、記載されていた電話番号に連絡すると、債権管理会社員を名乗る男に「登録したサイトで閲覧した有料動画の延滞料金がある」と支払いを求められた。大学生はコンビニでカード7枚を購入し男に番号を伝えた。
県警の聞き取りに、大学生は「ネットで動画などを日常的に見ており、未納金があるかもしれないと思った」と語った。
捜査2課の眞木野定彦特殊詐欺対策官は「電子マネーの購入を迫られたら詐欺を疑ってほしい」と話している。