鶏肉の状態を確認する日本アジアハラール協会の監査員(右側2人)=つるぎ町の貞光食糧工業

 鶏肉の生産・加工を手掛ける貞光食糧工業(つるぎ町)は、イスラム教の戒律に従った「ハラル認証」を受けた鶏肉の生産に乗り出す。日本在住のイスラム教徒(ムスリム)やインバウンド(訪日外国人旅行者)をはじめとする国内需要向けに近く認証を取得し、7月から受注生産を始める。

 同社が飼育する4品種のうち、植物性飼料で育てた地養赤鶏をハラル対応にする。通常は食肉処理工程全てを機械で行うが、認証取得には一部工程を、ムスリムが祈りを唱えながら手作業で処理する必要がある。このためバングラデシュやインドネシアなどの留学生でムスリムの4人を4月に採用し、処理作業にあてている。

 5月25日には、認証機関・NPO法人日本アジアハラール協会(千葉県)の監査員2人がつるぎ町の同社工場を訪れ、工場内の衛生状態や防虫対策、生産工程を確認した。処理ナイフなどの備品もチェックし、4人にイスラム教の教えやハラルの考え方を講義した。6月中にも認証が交付される見通し。

 貞光食糧工業は、国内に多くのムスリムが住んでいることや、2020年の東京五輪・パラリンピックでインバウンドが増えることから国内市場が広がると見込み、認証取得に踏み切った。

 受注目標は年間5万羽。まずは食肉加工業者や食品会社など既存の取引先を中心に売り込み、食品展示会でもPRする。当面は通常と同じ製造ラインを使って生産し、受注状況によって設備増強も検討する。マレーシアやインドネシアなど海外市場への進出の可能性も探っていく。

 辻貴博社長は「国内でハラル認証を取得した鶏肉は少なく、現状でムスリムが食べられる鶏肉の多くがブラジルなどから輸入された冷凍品。おいしさにこだわった日本の鶏肉を味わってほしい」と話した。