梅は「春告草(はるつげぐさ)」と呼ばれる。先週金曜の地域面で、吉野川市美郷の梅が白い花を付け始めたとの便りが目に留まった。年末年始から神経がささくれ立つニュースが相次ぐ中、凜とした花びらを見ると心が洗われる。

 奈良時代、花見と言えば、桜ではなく梅だった。大宰府に赴任していた大伴旅人も、庭に咲く梅をめでる宴を開いている。そのとき詠まれた歌が万葉集に収められ、序文が「令和」の出典になったのはご承知の通り。

 当時は中国渡来の梅がブームだったようだ。古事記や日本書紀に梅は出てこないが、万葉集では119首に上り、約40首の桜をしのぐ。平安時代の古今和歌集は逆に、桜が梅を大きく上回り、花見の主役になっていく。

 1300年近くたったいま、その桜がとんだとばっちりを受けている。安倍晋三首相の「桜を見る会」私物化疑惑である。衆院予算委員会では首相が、参加者を「募ったが募集していない」との珍答弁。丁寧に説明する姿勢はまるでうかがえない。

 首相らの答弁は相変わらず、はぐらかしやすり替えが目立つ。長期政権はやはり腐敗するものなのか。

 きょうは立春。「初春の令月にして、気淑(よ)く風和(やわら)ぎ」といきたいものだ。いっそのこと、「桜を見る会」も梅に代えてはどうか。美郷ほたる館によると、梅には腐敗を防ぐ殺菌、抗菌作用があるらしい。