「過去に例がないほどのスピードで高校教育が変化している。校長同士や学校間の連携を深め、情報交換を密にしながら変化に対応していきたい」。徳島県内の高校と特別支援学校の校長38人でつくる組織を束ねる役職に就き、表情を引き締める。

 最大の課題は高校教育、大学教育、大学入学者選抜を一体的に改革する高大接続改革への対応だ。大学入試センター試験に替わる大学入学共通テストは、記述式問題の導入や民間検定試験の活用が想定され、調査書の内容も見直される。新テストは2020年度からで、本年度の新入生から対象になる。「前例がない中でも各校で得た成果や課題を共有し、県教委とともに方向性を見いだしていきたい」

 30年余の教員生活の中で「自分のことだけ考えるのではなく、人と人とのつながりや社会を大切にする人材を育てたい」との思いを強くしている。他者との関わりを深めることで、おのずと今の時代に必要な思考力や表現力、コミュニケーション能力が磨かれると確信しているためだ。手始めはあいさつ。率先して城東高校の校門に立ち、登校する生徒に声掛けしている。

 父親は高校の体育教師で、多忙な姿を見ながら「先生にはなりたくない」と反発していた。それでも就職が内定した企業を断ってまで同じ道に進んだ。「教え子には『がむしゃらに頑張れ』と言い続けてきた。自分もがむしゃらにやってきただけですね」とほほ笑んだ。

 徳島市上八万町の自宅で母と妻、長男の4人で暮らす。59歳。