美波町の大浜海岸に近い老舗ホテル・白い燈台(とうだい)が、施設名や雇用体制を残したまま新たな経営者に事業承継された。近くの宿泊施設・うみがめ荘の運営会社のジミー・T・オカダ社長(66)が、白い燈台の運営会社・小川屋の全株式を個人で買い受け、社長に就任した。うめがめ荘と食材の共同仕入れや施設の相互利用を進め、県南観光の滞在拠点としてサービス向上を図る。
事業承継は5月15日付。オカダ社長が1月、小川屋の小川智前社長(83)が高齢のため後継者を探していることを知り、徳島商工会議所内の「県事業引継ぎ支援センター」の仲介を受けて事業承継が実現した。
小川屋はオカダ社長への承継後、小川前社長らから白い燈台の建物(鉄筋7階延べ約2800平方メートル)と約6600平方メートルの土地も購入した。新体制移行後も従業員19人の雇用は継続している。
6月5日からは従来の宿泊客向けの和食コースメニューに加え、ニーズの高い洋食メニューを増やし、新たに宿泊客以外にもランチとディナーも始めた。現在使っていないプールも改修し、7月末のオープンを目指す。
また、うみがめ荘と5月30日に業務提携を結び、食材の共同仕入れや人材の共有化を進めてコスト削減に取り組む。両施設にある大浴場を相互利用したり、うみがめ荘の宿泊者が白い燈台の宴会場を利用したりするなどして利便性を高める。
白い燈台は1973年に開業。全29室で定員は119人。温泉大浴場のほか、約300平方メートルのホールやレストラン、宴会場などを備えている。
オカダ社長は外資系ホテルチェーン「ベストウェスタン・ジャパン」(東京)の社長も務め、町営だったうみがめ荘が民営化された08年以降、運営会社うみがめ荘の社長を務めている。
オカダ社長は「地元で親しまれていたホテル名を残し、業務を継続、発展させることで県南観光の下支えになれば」と話している。