宇宙開発利用大賞の文部科学大臣賞を受賞した二川教授=徳島大蔵本キャンパス

 宇宙開発利用の推進に貢献した個人・団体を表彰する「第3回宇宙開発利用大賞」(内閣府主催)で、徳島大大学院医歯薬学研究部の二川健教授(宇宙生物学、分子栄養学)が文部科学大臣賞を受賞した。無重力下で生じる筋萎縮について、予防・改善効果がある機能性宇宙食の開発などが評価された。

 二川教授は医学を基盤とした栄養学の研究として、無重力や寝たきり状態でみられる筋萎縮に着目。県内外の企業や大学などと2009年に研究会を立ち上げ、筋萎縮に有効な機能性宇宙食の共同開発を進めてきた。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)や海外の宇宙研究センターとも連携し、3度の宇宙実験に参加。骨格筋に蓄積された酸化ストレスなどによって筋萎縮が起こるメカニズムを解明し、大豆たんぱく質や大豆イソフラボンが筋萎縮の改善に効果的であることを突き止めた。

 こうした研究成果から、宇宙開発利用における科学技術・学術の振興に顕著な功績があったと認められた。3月20日に東京で行われた受賞式では、林芳正文科相から表彰状を授与された。

 二川教授は「超高齢社会が進む中、筋萎縮は克服すべき疾患の一つ。機能性宇宙食の開発は宇宙環境だけではなく、寝たきり防止などにも応用できる。今後も、健康増進につながる研究に取り組んでいきたい」と話した。

 宇宙開発利用大賞は国の宇宙基本計画における「宇宙利用の拡大」を推進するため、15年に創設された。内閣総理大臣賞、文科大臣賞など11の賞がある。