飛び抜けた身体能力を生かし、東京五輪での活躍が期待される10代がいる一方、体を動かすことが嫌いな子どもが増えているのではないか。ゆゆしき状況だ。

 握力や持久走など実技8種目を測定した2019年度全国体力テストで、対象となった小学5年生と中学2年生の体力合計点は急落。小5男子は08年度の調査開始以降、最低となった。

 子どもの運動習慣の確立に向け、スポーツ庁は有効な指針や施策を早期に打ち出すべきだ。健康的な生活スタイルの促進や、スポーツ参画人口の拡大は東京五輪・パラリンピックの遺産として残すべきものでもある。

 全国の中でも徳島県は深刻だ。両学年の男女とも体力合計点は前回より下がり、いずれも全国平均以下だった。中でも小5男子は都道府県別の順位で40位、中2女子は39位などと芳しくない。詳細な分析が必要だ。

 もとより子どもの体力は1980年代がピークだった。外遊びの減少、生活様式の変化などに伴って体を動かすことが減り、体力低下は顕著になった。近年は学校内での取り組みが奏功して上昇傾向だったものの、それも頭打ちの感がある。

 スポーツ庁は、スマートフォンなどを使う時間が長くなっていることを低下の理由の一つに挙げる。県内でも中2男女と小5男子の3割以上は、スマホやテレビなどの画面を見る時間が一日に3時間を超えている。

 中学生に関して、急落の要因の一つと考えられるのが部活動の時間短縮である。

 教員の長時間勤務解消などの観点から、スポーツ庁は昨年3月、週2日以上の休養日を設けるガイドラインを公表。県内の中学校の部活動もほぼ週休2日となった。

 時間を持て余して、部活動がない日は自室でゲームに浸る。部活動の週休2日制導入後、こんな生活をする中学生も増えているのではないだろうか。

 県内の子どもは肥満の割合が全国平均に比べると高い。近視の児童生徒の増加もスポーツ嫌い、スマホ依存と無縁ではあるまい。

 問題は体力向上の必要性が十分認識されず、社会全体の危機意識が乏しいことだ。

 体を動かすことは体力づくりだけではなく、生活習慣病予防など将来の健康維持につながる。意欲、気力の醸成や、健全な心の育成とも深い関わりがあることも指摘されている。幼児期からの習慣化が求められるのは、こうした理由からだ。

 社会生活に不可欠なコミュニケーション力、協調性なども体を動かす遊びやスポーツを通じて培われるという。そのことに異論はなかろう。

 子どもの家庭内での過ごし方にも問題があるとしたら、学校の中だけでは解決できない。保護者とも連携し、体力低下に歯止めをかける必要がある。