徳島市の徳島駅前にある商店街「ポッポ街」に店を構え、県内のアニメや漫画、ゲームファンらに親しまれてきた南海ブックスが5月17日に閉店する-。この一報は3日夜から店に貼り出された閉店告知の画像と共にツイッター上をまたたく間に駆け巡り、4日朝には「南海ブックス閉店」がトレンド入りするほどの大きな話題となった。約40年にわたって徳島のサブカルチャーを支え続けてきた「聖地」だけに、その衝撃は幅広い年代の「オタク」に広がり、通っていた当時を懐かしんだり、閉店後の影響を懸念したりするコメントが相次いで寄せられた。

 「令和2年5月17日(日)17時をもちまして閉店させて頂く事となりました」。突然の発表に県内のアニメファンらの間に激震が走った。ツイッター上では「徳島のオタクにとって致命傷なんだが」「地元オタクの聖地でした」「アニメのグッズが豊富で雑誌もそろっていて重宝していたのでショックがでかいです」「南海ブックス閉店のショックがでかくて動きたくない」といったコメントが集中。「徳島に住んでた頃、大変お世話になったんで寂しいですな」「徳島に行ったらよく寄ってたから残念すぎる」などと、県外に住む新旧利用者からの声も多く見られた。

 1軒の書店の閉店がなぜトレンド入りするほどの大きな反響を呼んだのか。南海ブックスの存在の大きさを県外のアニメファンらに伝えようと、さまざまな「例え」を試みるツイートも多かった。「秋葉からアニメイトが無くなるくらいにヤバい」「これは東京でいうところの書泉ブックタワーがつぶれるのと似ているのでは。大変なことだよ…徳島のオタクでポッポ街の南海ブックスに行ったことのない人なんているのかってくらいなのに」「南海ブックス閉店って、としまえん閉園を上回るビッグニュースでは」といった表現で、その衝撃の大きさが語られた。

 

 1977年頃に絵本専門店として開業し、80年代前半から当時のアニメブームに乗ってアニメや漫画に力を入れ始めたという南海ブックス。長い歴史を持つだけに思い入れのある利用客の年齢層も幅広く、主に通っていたとみられる学生時代の思い出話にもさまざまな年代の店の姿が登場する。「『南海ショッピングプラザ』(後の『とくしまCITY』)にあった頃、よー行っとたなあ~」「昔ポッポ街のそごう側にあった頃からよく通ったもんだ」「学生の頃よく行ってたな。今みたいにアマゾンとか無かったし、南海とかでないと入荷してないのとかあったからなぁ」

 同人誌までカバーする豊富な品ぞろえに加え、旬の声優や作家を招いた独自のイベント企画で親しまれた店だけに、思い出話の中には今では大御所になった声優や懐かしい作品の名前も数多く出てくる。「徳島CITYの前南海の時代に島津冴子が来たことがありました」「声優の島本須美さん、林原めぐみさん等々、いろんな人のイベントにお邪魔しました」「エルピー・プルのムック本やミンキーモモの本を買いに行った」「中学の時の同級生に『くりぃむレモン』の『超次元伝説ラル』を買いに行かせた」「金月真美さんやこやまきみこさんのイベントも参加しました」

 店の閉店の一因にもなったというインターネット通販が普及した現在でも、商品を直接手に取って吟味したいコアなファンや、通販が利用しづらい学生らにとっては、身近な実店舗がなくなる影響は計り知れず「南海ブックスが無くなったらトクシマのオタクはどこでオタク関連物を買うの」「徳島のオタクカルチャーは寂れてしまうのかなぁ」と心配する声も多かった。また、成人向けの漫画やゲームの充実ぶりも支持を集めていただけに「俺はこの先どこでエロマンガを買えばいいんだ!!!!」といった悲痛な叫びも飛び交った。

 徳島駅前ではそごう徳島店も8月末での閉店が決まっており、中心市街地の空洞化が加速することを危ぐする声も多かった。「そごうの閉店も決まっているし、そこに南海ブックス閉店ときたら、徳島駅前からどんどん人のにぎわいが減っていくんじゃないか」「これでは駅前に遊びに行く理由がなくなってしまうな」「まじ過疎化やばい」。南海ブックスは市中心部で開かれるアニメやゲームの祭典「マチ★アソビ」の運営にも積極的に関わっていただけに「マチアソビどうなるんだろう」「漫画関係のイベントが減るのでは」と懸念する声もあった。

 一方で、思い出の詰まった店の閉店を惜しみつつも「鹿児島のひょうたん書店、島根のコミサイトなども閉店したように、地場のアニメショップにとってはキツイ時代」「今の時代の環境では閉店もやむを得ないのかもしれないね」「建物がかなり老朽化してたからなぁ」などと、社会情勢の変化でやむを得ないと受け止める声や「南海ブックス閉店に悲しみや驚きのツイートが多いけど、あんたらが今でもあの店で買い物してたら閉店なんかしてねえよ」と、インターネット通販などに流れた利用客にも「聖地」を守れなかった責任の一端があると指摘する声もあった。