徳島県が2020年度一般会計当初予算案を発表した。「県土強靱化」を掲げ、公共事業予算を前年度から大幅に増やすなどした結果、14年ぶりに5千億円を超えた。積極編成の一方で、飯泉嘉門知事が言う「『新次元の地方創生』幕開けの年」を感じさせるほどの力強さには欠けるのではないか。

 「二つの国難」の打破。これが20年度予算案の編成に当たり、県が最も重視した視点だ。二つとは、人口減少対策と、全国で頻発する大災害への備えを指す。

 国の「地方創生」の掛け声の下、15年度、全国で人口減少対策が始まった。しかし、県内で十分な成果が上がっているとは言いがたい。

 県は今回、地方創生関連予算として、19年度2月補正予算を合わせて519億円を計上した。前年度の予算額(補正を含む)を13億円上回る。

 この中には防災、医療、消費者行政、外国人材の受け入れ、女性活躍、事業承継、脱炭素社会など、多様な行政課題に対する施策が盛り込まれている。

 だが、移住促進策では無料通信アプリ「LINE(ライン)」を活用した若者への発信や、関西在住の女性をターゲットにした魅力体感ツアーなど、情報発信や相談体制の強化が予算化されてはいるものの、加速する人口減少の対策としては力不足だ。

 総務省が1月に発表した19年の人口移動報告によると、本県は県外への転出者が転入者を3357人上回った。昨年からの増加率は32・6%で四国他県(高知6・5%、愛媛2・1%、香川0・1%)に比べて格段に高かった。

 県は転出と転入の均衡を目指している。当初は20年度がその目標だった。既に、目標年は「30年まで」に先延ばししたが、現実を見る限り、新目標の達成も厳しそうだ。

 これまでの対策の何が駄目なのかという検証と、新たな視点の導入が欠かせない。

 技術・製品開発や農業、遠隔診療など幅広い分野に、第5世代(5G)移動通信システムといった、時代の流れを踏まえた施策も計上された。これらの新規事業を徳島ならではの取り組みとして磨き上げていくことが現状打破のきっかけとなろう。

 もう一つの国難、災害への備えは公共事業が柱。20年度当初と19年度2月補正の合計は929億円で、前年度(補正を含む)から37億円増となった。公共事業費は国の増額姿勢や県議会からの要請を背景に膨らみ続けている。

 事業の必要性とコストを、納税者の目線で厳しく吟味できているのかどうか。

 財政構造改革の成果により多くの指標が良くなる中、県債残高(臨時財政対策債を除く)は2年連続で増える見込みとなった。積極編成の副作用と言える。

 懐事情に変化が見え始めた今、将来負担や財政見通しに関し、県は県民への丁寧な説明が求められる。