世界がターゲットとなる。日本の農業も変わったものである。県阿波尾鶏ブランド確立対策協議会の3代目会長、辻貴博・貞光食糧工業社長は、業界のさらなる飛躍を誓う。

 阿波尾鶏の発売開始から30年になるという。4日付本紙朝刊の徳島経済面に、これまでの歩みのあらましが載っている。21年連続で地鶏出荷量日本一、累計出荷羽数は4千万羽。出荷量では名古屋コーチンを抜いて久しい。ところがである。

 関東や関西では、いまだ知名度が高いとは言えないらしい。そういえば今もなお、県外の客と飲食を共にする際、「あわおどり、といっても地鶏だよ。尾っぽの尾に、にわとりの鶏と書いて阿・波・尾・鶏」といった説明がいる。

 30年にしてこの現状。PR下手の本県ならではの珍現象といえる。足りない点がどこにあったか。業界の努力に行政は十分応えてきたか。協議会から「ブランド確立」の文字が消えるのはいつの日だろう。

 節目の年、輸出先の開拓にも力を入れると辻会長は意気込む。新型肺炎がどこまで続くのか不安はあるが、東京五輪・パラリンピックは、売り込みの、またとない好機である。

 人は、うまいものには目がないものだ。官民が力を合わせれば、県外の客人から「あの鶏、食わせてよ」と所望されるようになるまで、それほど長くはかからないはずである。