インターネットを活用して小規模タクシー会社の配車業務を受託している「電脳交通」(徳島市)が、県外や異業種分野に事業を広げている。東日本の営業拠点にしようと、埼玉県に新会社を設立してコールセンターを開設したほか、自社の配車システムを改良して異業種の企業に提供するなど、新たな試みを始めている。
電脳交通は、タクシーの車両に取り付けたタブレット端末と、コールセンターをネットでつなぐ「クラウドタクシー配車システム」を運用し、タクシー会社の配車業務を基本料金月額9万8千円(1日8時間、10台まで)で請け負っている。現在、県内と松山、高松両市の11社と契約を結び、県内のコールセンターで計183台の配車をしている。
東日本への営業拠点の開設は、以前から引き合いのあったタクシー会社への営業を強化するため。埼玉県のタクシー会社・日栄交通と共同出資して別会社を設立し、拠点とするコールセンターを同県に3月に設けた。現在、このコールセンターで日栄交通の配車業務をしており、首都圏で実際に配車業務を展開することで、新たな需要の掘り起こしを図る。
運転手の持つ端末に業務の指示や位置情報、経路案内を送れる配車システムの特長を生かし、異業種にも進出している。
タクシー用から一部変更した改良版をボイラー製造販売会社と不動産会社に提供。ボイラー製造販売会社は外出中の作業員が、以前はいったん帰社して確認しなければならなかった現場の位置情報や過去の点検履歴などを端末で見られるようにし、業務の効率化に生かしている。
こうした事業の拡大に伴い、電脳交通は徳島市助任町のビルの一室に3月、県内2カ所目となるコールセンターを開設した。近藤洋祐社長は「人口が減少する中で、利用客減少や従業員確保に苦労している企業に事業が広がっている。あくまでタクシーを主軸に、ITを活用して地域交通を活性化したい」と話した。