釣り人の姿が見られず、閑散としている古牟岐漁港=牟岐町灘

 徳島県沿岸でまひ性貝毒発生の原因となるプランクトンが大量発生している影響で、県南部の漁港から釣り客の足が遠のいている。沖合の磯に釣り客を渡す渡船業者らは「ここ1週間、開店休業状態だ」と困惑している。

 牟岐町で渡船業を営む楠本潤一郎さん(65)=同町浜崎=は「突然、ばったりとお客さんが途絶えた。渡船業界はすごい痛手だ」。週末には磯釣り客10人弱を牟岐大島の磯に運んでいるが、7日は土曜にもかかわらず客はゼロだった。

 牟岐町沖では、3月30日ごろに赤潮が発生。グレやイサギなどの魚が衰弱したり、死んだりする漁業被害が出ている。7日までにプランクトンの量は減少傾向にあると確認されているものの、磯場の周辺に魚が寄りつかないなど、影響は残っている。

 普段は釣り愛好家や家族連れでにぎわう古牟岐漁港(同町灘)にも、人影はない。ほぼ毎日、漁港を訪れる若野照雄さん(72)=同町灘=は「完全にプランクトンの発生が落ち着かないと、釣り人も足を運ぶ気にはならないのだろう」と話した。