新型コロナウイルス対策は新たな局面に入ったと言えるのではないか。

 日本国内で初めて感染者の死亡が確認された。

 亡くなったのは神奈川県の80代女性で、義理の息子の都内のタクシー運転手も感染していた。和歌山県の病院の男性医師やこの病院の受診歴がある男性、沖縄県の女性タクシー運転手ら感染者が次々と出ている。国内感染が広がりつつあると見るべきだろう。

 国や自治体は、国内へのウイルス侵入を防ぐ水際対策に重点を置いてきたが、市中での感染対策にも力を注がなければならない。

 新型ウイルスは感染しても多くは症状が軽いため、医療機関にかからない人もいるとみられる。その人たちが知らないうちにウイルスをまき散らしている可能性がある。

 これまで国内で感染が確認された患者は、中国の渡航歴があるなど感染ルートがたどれるケースがほとんどだった。だが、今回感染が判明した人の多くは中国の渡航歴がなく、中国人旅行客との接触も明確でない。こうした事例が増えてきたことを踏まえると、既に国内に感染者が一定数存在し、今後、増えていく恐れがあると考えられる。

 では、どう対応すべきか。

 糖尿病、高血圧などの持病がある人や高齢者が感染した場合、重症化するリスクが高い。まず、こうした人たちを守ることが求められる。

 それには高齢者施設や医療機関の対策が重要となる。ウイルスを持ち込まれないようにするだけでなく、施設や院内での感染にも細心の注意を払わなければならない。

 感染者が適切な診察や治療を受けられる医療態勢の整備も喫緊の課題である。

 国が新型インフルエンザの感染拡大を想定してつくった行動計画では、「国内感染期」は一般の医療機関でも診療を行い、重症者は入院し、軽症者には自宅療養を要請するといった指針が示されている。国内がどのような状況にあり、国はどんな措置を取ろうとしているのか、情報発信も不可欠だろう。

 徳島県も対策を迫られている。本県は香港との間で航空便が運航しており、感染者が出ている関西圏との人の行き来が多い。ウイルスが侵入する危険性は高い。

 県は、徳島阿波おどり空港の検疫強化のほか、感染の疑いがある人を専門的に診察する「帰国者・接触者外来」や相談窓口の設置、ウイルス感染を検査する態勢整備などを行った。だが、それで十分とは言えまい。

 先月には阿波市の介護老人保健施設で、ヒトメタニューモウイルスの集団感染が発生した。感染との因果関係ははっきりしないが、入所者5人が肺炎や呼吸器不全で亡くなっている。高齢者施設などの備えはできているのか。

 県内で感染者が出た場合、県民はどのように対処すればいいのか。もしもの時の行動指針も示してもらいたい。