ギリシア神話の牧神パーンは、半人半獣の神さまである。野や山、牧畜をつかさどっているけれど、どうやら、かなりのいたずら好きだ。暗く寂しい場所で、上半身が人、下半身がヤギの姿を突然さらして、人を驚かせていたという。

 深い森の中、さて、いつ出てくるか。日頃は大口をたたく人が、いきなりびくびくし始める。こうしたたぐいの恐れを、いつしか「パーンの恐怖」と呼ぶようになった。「パニック」という言葉の元をたどればここに行き着くらしい。

 新型コロナウイルスによる肺炎で、国内で初めて死者が出た。亡くなった女性は、最近の渡航歴はなく、国内で感染したとみられる。和歌山県でも病院の勤務医が肺炎を発症し入院するなど、感染者が次々と見つかっている。

 中国からの帰国者やクルーズ船客のように感染経路がはっきりしていれば、封じ込め対策のターゲットも絞りやすいが、既にかなり広がっている可能性がある。新型ウイルス対策は、新たな段階に入ったと考えた方がいい。

 ならば、本県でもいつ出てくるか。びくびくする前に、再度確認しておこう。このウイルス、重症化しにくいとされており、致死率も低い。

 県内でインフルエンザ患者が急減している。「新型」対策の結果だという。手洗い励行など、やるべきことをやれば、確かに効果はあるようだ。