政府は少子化対策の柱として、男性の育児参加を促している。目玉は、妻が出産した直後の育児休業の取得だ。

 政府方針によると、2020年度から、子どもが生まれた全ての男性国家公務員は、計1カ月以上の育休を取ることを目指す。取得促進に向けた管理職の取り組みを人事評価に反映させるという。つまり、部下が育休を取らないと、上司の成績が下がる。

 号令を掛けるのは、現政権で生まれた内閣人事局。強権的な手法だが、現状を変えるには上司の意識改革が欠かせないという認識の表れだ。国が率先し、自治体や民間へ。その意気込みを評価したい。

 小泉進次郎環境相の育休宣言も旗振り効果はある。掛け声倒れに終わらぬよう、政府は実効性のある施策を積み上げてほしい。

 内閣人事局が実施した直近のアンケートでは、育休取得を望む男性の国家公務員は8割を超える。一方で、実際の取得率は18年度調査で12・4%にすぎない。

 民間企業などを含む男性全体では6%強。徐々に増えてはいるが、20年までに「13%達成」とした政府目標の半分にも満たない。地方自治体は5・6%にとどまっている。

 女性に家事・育児負担が偏る背景には、「子育ては女性の仕事」という固定観念がある。女性の育休申請に一定の理解を示す上司も、男性には冷たい目を向けがちだ。

 「仕事が回らない」「昇進や昇給に影響する」など、申請をためらう理由はさまざまだが、一番の重しは職場の「空気」だろう。

 「とるだけ育休」という言葉が、女性の間に広がっている。夫が育休を取得したものの、家事・育児に関わる時間が短く、妻の負担軽減につながらない現象を指している。民間調査では、3割超が「1日2時間未満」だ。

 取得日数も「5日未満」が最多。企業の取得実績を上げるための方便となるケースもある。「会社の都合」で家にいられては、妻の負担感、孤立感は深まるばかりだ。

 育休中の生活を支える「給付金」は雇用保険から賄われ、企業側は人件費負担を免れている。休職中の人員補充など、支援環境を整える余地は十分にある。

 支援団体によれば、母親が一番神経を使うのは子どもの泣き声だという。冷淡な視線を意識し、「虐待では」と通報される不安にかられるのだ。

 都市化や核家族化の大波を受け、育児を包み込む「隣近所」の力は希薄になった。共働きが当たり前の時代。「子育ては女性」の意識が不変なら、少子化は当然の結末だ。

 安心して子どもを産み、育てる環境を整えるためには、「子育てを担うのは誰なのか」を問い直す必要がある。

 パートナーである夫の育児参加は不可欠だ。互いの両親の力はもちろん、行政が実施するサービスも、頼れるサポーターとして見直されるべきだろう。