「納得できるまで作り込む」と語る新山さん=城北高

新山さんの受賞作「打刻隊 日出童子・日入童子」

 若手芸術家の発掘と支援を目的とした「ターナーアワード2019」(ターナー色彩=本社大阪市=主催)で、城北高3年の新山珠羽さん(18)が高等学校優秀賞を受賞した。造形作家を目指して制作に励み、約半年をかけた大作での受賞に「満足するまで作り込めた。自分が面白いと思ったものに共感が得られたことがうれしい」と喜ぶ。

 作品は、「打刻隊 日出童子・日入童子」。日の出と日の入りに合わせてドラを打ち鳴らす架空の職業「打刻隊」を想像し、石粉粘土と木材で立体化した。

 何げなく天気予報を見ていた時、科学が未発達の時代には、どうやって天候や太陽の動きを知っていたのかと考えた。日が昇り、沈む瞬間を音で伝える職業があったとしたら面白いのではないか。

 作るうちに次々とイメージが膨らみ、当初のラフ画からは大きく形を変えた。台座部分は天球儀から着想を得て、緻密にペイントした天体をちりばめた。「仏像や壁画のビビッドなイメージが好きで、目を引く派手な作品にしたかった」と話すとおり、鮮やかな色彩が魅力的だ。

 童子の表情は生き生きとし、実際のモデルがいるかのようだ。全高87センチの作品は、ほぼ全ての造形を木材の切り出しと粘土の彫刻で作り上げており、豊かな想像力を見事に具現化し切った。

 長年、造形一筋だったのではないかと思わせる技術力ながら、制作に取り組むようになったのは高校入学からという。独特の世界観を持った美術作品を鑑賞するのが好きで、自分で作品を生み出したいという思いが募って美術部の門をたたいた。

 高校3年間で手掛けた作品は、絵画も含めると約30点に上る。「複雑な完成像をイメージすることが多く、納得できるまで作り込まないと気が済まない」というスタンスで、授業以外のほぼ全ての時間を制作に費やしてきた。

 卒業後は愛知県立芸術大の彫刻専攻に進む。新山さんが目指すのは「人型造形作家」だ。江戸時代後期に隆盛した、まるで生きているかのように精巧に作られた「生人形(いきにんぎょう)」の世界に憧れを抱く。「かつて途絶えた生人形師という職業を、令和の時代に復活させたい」と情熱を燃やす。

 「美しい物や自分の想像を、美術なら自らの手で生み出すことができる」と制作の魅力を語る。真摯に制作に取り組むのは、これまでにあまたの作家が伝えてきた美術の一端を、自分自身も担っているという自負があるからだ。

 「想像上の産物を、手に取れる物として表現できる造形には夢がある。これからも自分のイメージを大切にしながら、作品を作り続けていきたい」と話した。