国会が荒れている。

 節度を欠いた安倍晋三首相のやじ、しどろもどろの閣僚答弁には、これが言論の府なのかと目を疑う。「桜を見る会」の私物化疑惑を巡る野党の質問に、首相らはまともに受け答えができなくなっているのだろう。

 新型コロナウイルスの感染が国内で広がり、その対応が重要課題となる中、疑惑の解明が置き去りにされる恐れがある。野党は追及の手を緩めてはならない。

 首相の説明はもはや、つじつまが合わなくなってきている。桜を見る会の前日に都内の高級ホテルで開いた「前夜祭」の夕食会費を巡る答弁は、誰が聞いても不自然に感じよう。

 前夜祭は後援会主催のため本来、会費は政治資金収支報告書に記載しなければならない。だが首相は、参加者が1人5千円の会費を支払う「契約」をホテルと交わしているので、後援会に収支は発生せず、報告書に記載する必要はないと主張した。

 800人もの参加者一人一人がホテルと契約したというのは、普通では考えられない。脱法行為に問われないための詭弁にしか聞こえない。

 野党議員がこれを「安倍方式」と名付け、全ての政治家が同様の手法で会合を開いてもいいのかとただすと、首相は「問題ない」と断言した。政治資金規正法の抜け道を、首相自らが容認するとは言語道断と言うほかない。

 疑念を晴らすには、領収書や明細書を公表すれば済む。「ホテルの意向で出せない」などと理由を付けてやらないのは、不都合な事情があるからではないのか。

 首をかしげるのはこれだけではない。

 桜を見る会は「各界功労者」を招くのが目的なのに、首相の後援会関係者が申込書をコピーして知人らに声を掛けていた。そのことを問われた首相は「募ったが募集していない」と珍答弁した。意味不明の言葉ではぐらかそうとしたのだろうか。

 さらには、「タイは頭から腐る。ここまで来たら頭を代えるしかない」と、退陣を迫って質問を終えた野党議員に、「意味のない質問だ」とやじを飛ばした。行政監視を担う国会を否定する暴言だ。

 首相はこれまでも疑惑を追及する野党議員に対し「うそつき」と非難したり、「非生産的な、政策とは無縁のやりとりを長々と続ける気持ちは全くない」と居直ったりしている。

 一方、桜を見る会の公文書に関する答弁がたびたび迷走するなど、閣僚の適性を問われて当然の北村誠吾地方創生担当相を、「しっかりと任務を果たしている」とかばう。

 そこから見えてくるのは、1強にあぐらをかき、独善に陥った政権の姿である。

 今回も野党の追及をやり過ごし、うやむやに終わらせようとしているのではないか。現政権が続けてきたやり口をもう許してはならない。