河野和代さん

 ―カウンセリングを受ける性暴力被害者の特徴は。

 多くの人は心身の不調を訴えて訪れる。過去の性被害が原因だと気付いていないものの、被害に起因する記憶障害や乖離症状があり精神的に不安定だ。仕事や学業が続かない人も多い。心に地雷を抱えているような状態で、爆発する時もある。それでも、適切なケアを受ければ必ず回復できる。

 ―性暴力はなぜ起きると考えているか。

 ドメスティックバイオレンス(DV)と構図は同じで、根っこに性差別がある。その上に経済格差の広がりなどの社会的要因が重なり、男性のフラストレーションが女性に向かう。高収入を得るなど従来の「男らしさ」を保ちづらくなっている。揺らぎがちなアイデンティティーを確認するため、性という手段で支配的行動を取るのだろう。肥大した男性性のゆがみが性暴力を引き起こしている。

 ―性暴力をなくすためには何が必要か。

 性的加害は男性の一種の病だと思う。男性がしっかりと問題意識を持って治すべきではないか。性暴力は女性問題ととらえられがちだ。しかし、男性問題にひっくり返さないといけない。性加害や性差別をしなくても、自信を保って女性と対等な関係を築ける「男性モデル」を男性自らが周囲に示し、広げてほしい。

 ―昨年7月に徳島で初の「フラワーデモ」を開き、これまでに4回実施した。

 いつまでたっても性暴力や性差別がなくならない。女性の怒りが頂点に達し、フラワーデモにつながったのだと思う。セクハラやジェンダー問題に長年取り組んでおり、「声を上げなきゃ。やるしかない」と思った。これまで表に出てこなかった被害体験を語り、共有できるような場が持てたのは感慨深い。

 ―女性が声を上げ始めた一方で、2019年の「ジェンダー・ギャップ指数」で日本は121位となり、過去最低を更新した。

 諸外国が性差別解消へと突き進む中で、日本だけが置いていかれた。資本主義政策が長い国は徐々に行き詰まり、ジェンダー平等にかじを切った。社会で女性に活躍してもらう方が、経済力が底上げされ合理的だからだ。日本も男尊女卑思想や家父長制にとらわれている場合ではない。制度や法律を変え、本気でジェンダー平等に取り組むべきだ。

 かわの・かずよ 日本フェミニストカウンセリング学会認定フェミニストカウンセラー。1997年、徳島市に「ウィメンズカウンセリング徳島」を開設し、代表を務める。行政のハラスメント相談や女性相談を担当。DV被害者支援にも取り組んでいる。

 フラワーデモ 2019年3月に全国で性犯罪の無罪判決が4件相次いだのを受け、作家の北原みのりさんらが翌4月に東京で始めた。被害者に寄り添う「#With you(ウィズユー)」の象徴として花を持って集まり、参加者が体験や思いを語る「リレートーク」などを行う。全国各地で毎月一斉に開き、徳島でもこれまでに4回実施。今月11日には徳島を含む40都道府県で行われた。最終回となる3月8日の「国際女性デー」には47都道府県で開催し、性差別や性暴力に「ノー」の声を上げる。