聴衆とともに「歓喜の歌」を熱演する徳島エンゲル楽団のメンバーら=鳴門市ドイツ館

 第1次世界大戦中、ドイツ兵捕虜と徳島の住民が共演した演奏会を100年ぶりに再現する「蘇(よみがえ)る和洋大音楽会」が8日、鳴門市ドイツ館であり、約150人が日独友好の歴史に思いをはせた。

 100年前にも奏でられた古典「千鳥の曲」を徳島邦楽集団が披露し、1世紀ぶりの共演ステージが幕開け。徳島市の日本舞踊家・音羽菊公(きくひろ)さんらの舞台に続き、徳島エンゲル楽団・合唱団と鳴門「第九」を歌う会が、「友愛の花」などを熱演した。フィナーレでは聴衆も一緒になって、ベートーベン第九交響曲第4楽章の「歓喜の歌」を合唱した。

 熱心に耳を傾けていた多田妙子さん(70)=徳島市国府町府中=は「音楽を通じた素晴らしい交流の歴史に、改めて感心した」と話した。

 和洋大音楽会は1918年6月2日、同市の徳島公園(現・徳島中央公園)であった。前日に鳴門市の板東俘虜(ふりょ)収容所で「第九」アジア初演を果たしたドイツ兵捕虜が駆け付け、邦楽を演奏する住民と共演した。