親友と共謀し、大企業グループから巨額の賄賂を受け取ったとして収賄罪などに問われた韓国の前大統領、朴槿恵(パククネ)被告に、ソウル中央地裁は懲役24年、罰金180億ウォン(約18億円)の実刑判決を言い渡した。

 有罪判決を受けた大統領経験者は全斗煥(チョンドファン)、盧泰愚(ノテウ)「両氏(共に特赦)に続いて3人目となる。先月には李明博(イミョンバク)元大統領も収賄容疑などで逮捕された。

 民主化から既に30年がたつが、本人や家族が罪に問われなかった大統領は一人もいない。民主国家にはありえない異常な事態だ。政治家個々の資質はもとより、大統領制度自体に欠陥があると考えるほかない。

 韓国政治の根底には、同郷や同窓、親族など社会に根付いた縁故主義がはびこっている。それが「帝王的」とも称される強大な権限と結びつき、不正が後を絶たない。

 革新系の文在寅(ムンジェイン)政権は、大統領に集中する権限を縮小・分散させる憲法改正案を国会に提出している。成立は望み薄のようだが、制度改正は保革を超えた問題である。この機会に手を付けないと、再び国政の私物化が繰り返されることになろう。

 文大統領は、過去の政権で積み重なった弊害を正す「積弊清算」を掲げる。保守派が主張する「報復」の意味合いからだとすれば、国民の分断と対立は深刻になるばかりである。

 韓国政治の不安定化は、日本にも影響が及ぶ。東アジアの平和と安定のためにも、そろそろ「情治主義」を克服すべき時ではないか。