臨床心理士の福田由紀子さん

 ―加害者にはどんな特徴があるのか。

 他の犯罪に比べ、高卒以上の学歴を持つ人の割合が高い。普通に仕事を持ち、結婚している人も珍しくない。ただ、みんな自己肯定感が低くて自信がなく、性という手段で弱者を思い通りに扱って自尊心を満たそうとする。父に殴られ服従している母を見て女性を見下すようになるなど、成育環境が原因で女性観がゆがむケースも多い。

 ―性欲を抑えきれず、犯行に及ぶと考えられがちだ。

 「衝動的にしてしまった」と本人も思い込んでいるけれど、交番の前では絶対にしないし、実は計画性もある。「気持ち良くなかった」「(犯行時)勃起していなかった」という声もよく聞く。性欲というよりも、支配欲を満たしたり、ストレス解消したりするために加害している。そのような目的で女性を利用していいと思っているのが問題だ。

 ―アダルトビデオ(AV)の影響も指摘される。

 「AVを見て、自分でもできると思った」と言う加害者が非常に多い。「レイプもの」が好きで性行為の一つのバリエーションのように捉え、「嫌がっていても最後は喜ぶからいいだろう」などと考えている。性教育がしっかり行われていない中、AVから知識を得る若者は多く、弊害は大きい。

 ―再犯防止プログラムに関わり、どんなことを感じたか。

 8~9人の受講グループには、幼少期などに性被害を受けた人がいる。男性である自分が性的対象にされて「男性性」が傷つき、それを取り戻すために成長後に加害に走っている。男児は女児以上に被害を言い出しにくく、1人で抱え込む場合が多い。男児も性暴力に遭うと周囲が認識し、予防や被害後のケアをしっかり行う必要がある。

 ―どんな社会になれば性犯罪はなくなるのか。

 加害は、自分が優位に立てる女性や子どもへの「男性性」の確認行為といえる。いわゆる「男らしさ」を強いられるのが問題ではないだろうか。例えば男性は、いまだに一家の大黒柱としてお金を稼ぐよう期待され、「強くあれ」「泣くな」などと言われる。そうしたジェンダー規範をなくし、男性が弱音を吐き、助けを求められる社会にしていくべきだ。

 ふくだ・ゆきこ 臨床心理士、公認心理師。「ユキメンタルサポート」(福岡県久留米市)代表。女性のエンパワメント支援が専門で、性暴力やDV、虐待被害者らのカウンセリングに取り組む。法務省が更生施設で実施する性犯罪再犯防止プログラムに指導者として携わった。徳島市出身。