徳島県議会6月定例会が15日、開会した。飯泉嘉門知事は所信表明で「とくしま国民文化祭記念管弦楽団(とくしま記念オーケストラ)」を巡り、脱税容疑で東京地検に告発された音楽プロダクション「アンサンブル・セシリア」(東京)に渡った事業費の金額を調査する意向を示した。知事はこれまで「民間同士の話だ」とし、調査する意思を示していなかった。また一連の問題について「県民に心配を掛けていることは大変申し訳なく思う」と陳謝した。
アンサンブル・セシリアは、県が記念オーケストラを委託した業者の協力業者として事業に参画。所信表明で知事は、業者間の事業費の流れなどが不明瞭との批判を受けているとした上で「民間企業間の取引ではあるものの、工夫を凝らしてお示ししたい」と述べ、資金の流れや金額について調査し、報告する考えを初めて示した。
演奏会の経費の積算方法については、他県の事例などを踏まえて検証する方針をあらためて表明。事業費を拠出している「文化立県とくしま推進基金」の使途を明瞭にすることも明言した。
知事は、告発されたアンサンブル・セシリアの川岸美奈子代表取締役(57)が県政策参与を務めていたことにも触れ、「県と記念オーケストラの信用を失墜させたことは誠に遺憾だ」と述べた。さらに「一日も早く県民の疑念を払拭(ふっしょく)するため、いったん立ち止まって、記念オーケストラの在り方について根本的に検討していく」と、音楽事業を見直す可能性にも言及した。
このほか、一般会計補正予算案(6億7321万円)など21議案を上程、20日に本会議を再開し、代表・一般質問に入る。会期は7月5日まで。