徳島県議会2月定例会の代表・一般質問が始まった。

 代表質問では、最大会派・県議会自民党の2人と新風とくしまの1人が登壇した。

 新年度当初予算案や、人口減少対策となる県版総合戦略案を巡り、活発な議論が期待されたが、内容は薄かった。

 人口減少の論議はその典型だろう。この問題を取り上げたのは1人だけ。その質問も「総合戦略の下、地方創生の実現に向け、どのように取り組むのか」という漠然としたものだった。これでは議論は深まらない。

 現在の総合戦略(2015~19年度)は、60年時点の県人口の目標を「60万~65万人超」としているが、新たな戦略(20~24年度)では、「55万~60万人超」に下方修正した。さらに20年までに転入と転出を均衡させる目標も30年に先送りした。

 なぜ当初の目標を達成できないのかを、誰も問わなかったことには首をかしげる。

 国の19年の人口移動報告によると、本県は県外への転出が転入を3357人上回った。前年からの増加率は32・6%で、四国4県でも突出して高い。1月1日時点の推計人口を見ると、19年の年間減少幅は7975人に上り、県人口が減少に転じた1999年以降で最大となった。

 県の対策は効果が上がっていない。現戦略の検証や反省もなく、新たな戦略を設けてもどれほどの効果が期待できようか。

 飯泉嘉門知事は「人口減少の克服に向け、地方創生関連予算について対前年比13億円増となる519億円を確保した」と述べ、デジタル技術によって地域課題を解決する「ソサエティー5・0」の実現などを対策として挙げた。

 こうした知事の説明を聞くだけで、戦略の中身についての議論はなかった。多額の予算をかけながら成果が乏しかったとなれば、議会の責任も問われよう。

 さらに疑問なのは、新型コロナウイルス感染拡大への県の対応に関し、質疑がほとんどなかったことである。

 県内で感染者が出た場合の備えは万全か、県内の観光業に影響は出ていないか、とくしまマラソンや香港便はどうなるのか。県民生活に大きく関わる喫緊の課題を素通りするのは、緊張感を欠いている表れだろう。

 この日も「地方創生の旗手」「新次元の取り組み」「スポーツレガシー」と知事の言葉は躍った。ただ、それにふさわしい成果が上がっているかどうか検証するのが議会の役割だろう。

 しかし、知事の県政に対する姿勢をただす質問者はいなかった。むしろ、知事に対し「地方創生の全国モデルとなる成果を残したことを大いに評価する」「まさに有言実行。心から敬意を表したい」と賛辞を送る場面が目に付いた。

 そこからは県行政を厳しくチェックしようとする姿勢は見えない。議会審議の形骸化に危機感を覚える。