「性的欲求からの支配が目的のため、若年層を狙うケースも多い」と話す遠藤智子さん

 ―性暴力被害はなぜ若年層に集中するのか。

 加害者が弱い者を狙うから。年を重ね、地域や家庭で地位と基盤があるような女性には加害しない。被害について周囲に言えず、反抗できない未熟な相手を選んでいる。性的欲求からの支配が目的のため、若年層を狙うケースも多い。

 ―加害心理の背景にあるものとは。

 ライブ動画配信サイトを見ると幼い女の子も少なくない。素人なのに視聴者が大勢いて、ファンクラブもある。応援するには課金が必要なため、ファンは同世代の男の子でなく大人が多い。小中学生に興味を持つような成人男性は、一昔前なら非難されていた。しかし、現代は子どもの性が当たり前のように商品化されている風潮があり、規制も不十分。性的対象にすることに対する罪の意識が薄れ、加害につながっているのではないか。

 ―少女側も、商品化されている自覚や被害意識を持ちにくい。

 素人っぽさを売りにしたアイドルが影響力を持ち、「女は客体であれ」「お高くとまるな」というジェンダーバイアスをかけ続けている。エンターテインメントの世界でジェンダー平等が進んでおらず、女性差別的なアダルトサイトも身近な存在だ。まともに性教育も行われていないため、性的自己決定権や性的関係における男女の対等性を教えられていない。「そういうものだ」と思ってしまうのも無理はない。

 ―性虐待や家庭内暴力で居場所をなくし、会員制交流サイト(SNS)で男性とつながる少女もいる。

 少女は宿泊や食事の代償として性行為を受け入れざるを得ないが、男性側にとっては「安価な買春」以外の何ものでもない。少女に侮蔑的な言葉を投げ掛けたり盗撮したり、ひどい仕打ちをする男性もいる。こういう人に対して、世の男性はどう対応するのか。加害者の圧倒的多数は男性。性暴力は男性にとってどういう問題なのか考えてほしい。

 ―SNSで見知らぬ男性に頼らざるを得ない女性を、どう支援していくべきか。

 困難を抱える若年女性について公的機関などは解決すべき課題と認識しておらず、専用の相談窓口もない。彼女たちの生きづらさは「相談していいことだ」という認識を広げていくのが大切だ。少女が使う言葉や感性は大人と全く違うので、通訳できる人材を支援側に用意するのも重要だと思う。

 えんどう・ともこ NPO法人「全国女性シェルターネット」事務局長を経て、2011年から社会的包摂サポートセンター事務局長。24時間対応の相談電話「よりそいホットライン」のほか、SNSでの相談業務に取り組み、生きづらさを抱える若年女性らに寄り添う。著書に「女性たちが変えたDV法」、共著に「下層化する女性たち」。