弁護士の仙頭真希子さん

 ―子どもが性被害に遭った時、心の傷を広げないように親はどうするべきか。

 子どもの話にきちんと耳を傾け、信じるのが基本だ。親もショックを受けて「うそであってほしい」と願うあまり、「そんなこと言ったらだめ」などと叱ってしまいそうになる。子どもにとっては被害よりも親の反応で傷がより深くなり、影響が長引く。「大変だったね。話してくれてありがとう」と受け止め、専門機関で適切なケアを受ければ必ず回復できる。

 ―小中高校で起きるわいせつ行為「スクールセクハラ」に遭うリスクがある。

 性暴力は力の差がある関係の中で起き、先生と児童・生徒の関係はその最たるものだ。校内でも起こりうると考えた上で、家庭で性教育をしっかり行う。親が子どものSOSに気付くための知識を持つのも重要だ。

 ―子どもはどのように被害を防げばいいのか。

 「嫌だ」と拒絶して見知らぬ人からの被害を回避できたり、継続的な性虐待を断ち切れたりするケースもある。普段から自分を守る力と、周囲の大人に助けを求められるコミュニケーション力を身に付けさせる。子どもに口止めする加害者も多いので、「『内緒だよ』と言われても、変だな嫌だなと思ったら話して大丈夫だよ」と言い聞かせておくのも大切だ。

 ―家庭での性教育はいつから、どんな形で行うべきか。

 就学前から命の大切さや、自分も他人も尊重されるべき存在だと教える。水着で隠す部分「プライベートゾーン」についても「自分だけの大切な場所なので人に見せたり触らせたりしない。人のものも勝手に見たり触ったりしたらいけない」と説明する。幼児向けの性教育絵本もたくさん出ている。読み聞かせの中で楽しく学ばせるのも有効だろう。

 ―加害の芽を摘むために、子どもの時に何が必要か。

 家庭での性教育が一番大切だ。アダルトサイトなどに接するリスクが高まる小学4、5年生までに、他人の体に触れる時は同意を得るのが当然だと繰り返し教える。両親の関係が一番の手本になるので、2人が良好な関係であるのも重要だ。父親が母親を尊重し、対等なパートナーシップを構築している様子を家庭内で見ていれば、女性を傷つけ、加害するようなことはしない。

 せんとう・まきこ 中央大法学部卒。2007年に弁護士となり、法律事務所勤務を経て13年に香川県丸亀市に「せんとう法律事務所」を開設。事件に接してきた経験から、子どもの安全対策や性教育の推進に取り組む。自尊感情を高め、性と命の大切さを教える「誕生学」のアドバイザーとして講演活動などを行う。「子ども安全ネットかがわ」代表。

【性暴力と戦う】
心と体を深く傷つける性暴力。「#MeToo」運動などの広がりで実態は少しずつ明らかになっているものの、被害者が声を上げるのは容易ではない。どうすれば女性や子どもがおびえなくてもいい社会にできるのか。