女神アルテミスの怒りに触れ、サソリに刺されて最期を遂げたといわれるオリオンは、死して天に昇り冬を代表する星座になった。鼓の形をした星座の、向かって左肩にある星ベテルギウスで、大変な事態が進行しているらしい。

 変光星で、もとより明るさは一定ではないが、それにしても最近は暗すぎる。寿命を迎えたときに起きる超新星爆発の前触れではないか、というのである。

 夜空を見上げると確かに暗い。本来は同じオリオン座の右下、リゲルと同程度の極めて明るい星だ。この星の約1千万年とされる寿命が、そろそろ尽きようとしていることも”うわさ“に拍車をかけている。

 もっとも専門家は否定的だ。そこを無理に聞いてみた。爆発すればどうなりますか? 「計算するとマイナス10等級、半月ぐらいの明るさになりますね。昼間でも見えるでしょう」とは阿南市科学センターの今村和義学芸員。

 ベテルギウス、よわい900万。いずれ輝きを失い、オリオンは姿を変える。発端となる大爆発は明日か、数十万年後か。人の時間を基準に置けば、果てしない差ではあるけれど。

 宇宙の単位では、比較的近い約650光年の距離にある。とすれば今地球に届いているのは、室町将軍・足利義満のころに発した光ということになる。天空を仰ぎ、その広さを思うと、くしゃみが出た。