板東俘虜収容所の松江豊寿所長

 第1次世界大戦時に鳴門市大麻町にあった板東俘虜(ふりょ)収容所で所長を務めた、松江豊寿(とよひさ)(1872~1956年)の銅像建立に向けた資金集めが難航している。市民でつくる「松江豊寿銅像建立実行委員会」が1千万円を目標にし、寄付を募っているものの、現時点で半分以下の約400万円にとどまっている。ベートーベンの「第九」アジア初演100周年となる2018年の建立を目指しており、実行委では支援を呼び掛けている。
 
 実行委は昨年7月、同市大麻町の地元有志らが松江の功績を後世に伝えるために発足させた。今年1月から、実行委の会員23人が市内の企業や各種団体などに趣意書を配って寄付を募り、230件で291万8千円(10日時点)が集まっている。
 
 このほか、市が今年3月にインターネットを通じて集めた寄付金238万5千円から、返礼品などの必要経費を除いた119万2千円が補助金として交付された。会費1万6千円も含め、事業資金の総額は412万6千円(10日時点)となっている。
 
 今月4日に市文化会館で開かれたベートーベン「第九」交響曲演奏会では、観客約1200人に趣意書と払い込み用紙を配布したが、寄付は2人しかなかった。
 
 実行委によると、銅像の建立費用は約750万円で、市ドイツ館の敷地内に設置する。胸から頭までの胸像で、土台を合わせた全長は約2メートル。松江の功績を刻んだ石碑も別に作り、約100万円が必要。制作費を除く資金は維持と管理を行う市に寄付する。
 
 現在、徳島大名誉教授で県美術家協会会長の彫刻家河崎良行(りょうこう)さんが制作を進めている。松江の尽力によって生まれた、「第九」のアジア初演から100周年となる18年6月1日に合わせ、同年5月の完成を目指している
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 実行委は今後、地域の家を一軒一軒回って趣意書を配るなどして理解と協力を得る考えだ。林宏明代表(78)=同市大麻町板東=は「松江所長の功績は世界平和につながるものがある。語り継げるように、みなさんにもご協力をお願いしたい」と話している。
 
 寄付に関する問い合わせは実行委事務局<電090(9778)4483>。