無罪を主張するのであれば、まずは国会で説明をするのが筋である。

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、東京地検特捜部に逮捕、起訴された衆院議員の秋元司被告は起訴内容を否認し、検察側と全面対決する構えだ。

 保釈2日後に行った記者会見で、秋元被告は「特定の事業者に便宜を図ったことは断じてない」「賄賂を受け取ったことは一切ない」と無罪を訴えた。

 理解に苦しむのは、野党が求める国会での証人喚問に、秋元被告が応じようとしていないことだ。

 「裁判に専念させてほしい」という理由に説得力はない。身の潔白を主張し、今回の逮捕・起訴を不当と言うのなら、なおのこと国会で説明する必要がある。

 秋元被告は、日本でのIR事業参入を狙う中国企業の関係者から、総額760万円相当の賄賂を受け取ったとされる。起訴内容はいずれも秋元被告がIR担当の内閣府副大臣を務めている時期だった。

 会見では、賄賂をもらったことはないと述べた一方で、中国や北海道への旅費、高級ブランド品の費用などを受け取ったことについては「秘書に支払いを指示していた」「食事などの形で払うつもりだった」と釈明した。

 到底納得できない言い訳である。

 秋元被告は体調を整え、3月にも登院する意向を示している。議員活動を続けるのであれば、自ら進んで証言の場に立ち、質問に答えるべきだ。与党も証人喚問に協力し、率先して真相究明に努めなくてはならない。

 安倍晋三首相は、IR事業を成長戦略の看板政策として推進していく方針を変えていない。

 共同通信社が今月行った世論調査では、IR整備を「見直すべきだ」との回答が8割近くに上った。これほど不信感が高まっているのに、このまま事業を押し進めるつもりなら、国民軽視も甚だしいと言うほかない。

 政府は事件を受け、IRを整備する地域の選定基準などを盛り込む基本方針の決定を先送りしている。当然だろう。重点を置くべきは、経済成長の柱にカジノを据えるのが適当なのかどうか、再考することだ。

 立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党は、カジノ営業を禁止する法案を今国会に共同提出している。与党が数の力で押し切るようなことがあってはならない。徹底して議論してもらいたい。

 今回の汚職事件では、秋元被告のほかにも国会議員5人が、それぞれ中国企業側から現金100万円を受け取った疑惑が持ち上がった。

 収賄罪にかかる職務権限がないとして立件は見送られたものの、秋元被告と共にしっかりと説明責任を果たすのが、国会議員として最低限の務めだ。