寒い朝、うっすらと雪をまとった駅を列車が駆け抜けていく=三好市池田町

 童謡の「雪」の一節「犬は喜び庭駆け回り」ではないが、積雪ありと天気予報で聞くとそわそわする。

 南国の徳島県では、四国山地の高所帯以外の平地で雪が積もるのはまれ。雪景色を撮りたい場所は何カ所もあるので、天気図を見ながら撮影地を選び、予定を立てる。

 18日、今冬一番の寒気が流れ込み、雪が降るとの予報が出た。記録的な暖冬で今年は積雪が見られないまま終わるのではないかと思っていただけに、千載一遇のチャンスと夜明け前から県西部に向けて車を走らせた。

 午前4時すぎ、風に粉雪が交じり、路面が白くなっていく。これは期待できると国道32号を北に向かい、三好市池田町のJR土讃線の坪尻駅が見下ろせる展望台に向かった。

 漆黒の山の間に白い雪が積もる駅。視線を送ると、プラットホームの明かりに浮かび上がっていた。周囲に人家の明かりは無く、どうしてこんな場所に駅があるのかと思う。

 坪尻駅は、もともとは列車の行き違いのための信号所として1929年に造られた。50年に駅になったものの、今では利用者はほとんどおらず、車道も無い「秘境駅」として有名になっている。雪が降ると、さらに秘境の度合いが増すように見えた。