日本経済の停滞感が鮮明になってきた。

 昨年10~12月期の国内総生産(GDP)は、実質ベースで大幅なマイナス成長に陥った。今年1~3月期についても、新型コロナウイルスの影響が新たな下押し要因となり、2四半期連続のマイナス成長も現実味を帯びてきた。

 政府は災害や海外発の下方リスクへの備えとして、13兆円の財政措置を伴う経済対策を打ち出しているが、先行き懸念は増すばかりだ。

 ところが、内閣府が公表した2月の月例経済報告では、景気判断について一部で表現を変更しつつも、全体は「緩やかに回復している」と据え置いた。

 雇用や所得環境が安定していることを重視したようだが、各種の経済指標を反映しているとは思えない。市場との景気判断の隔たりも顕著になっており、機動的な対応ができるか不安だ。

 10~12月期GDPは、前期比で1・6%減、年率換算で6・3%減と、市場の想定以上の下落幅となった。

 昨年10月の消費税率10%への引き上げで、GDPの6割近くを占める個人消費が前期比2・9%減(年率換算11・0%減)と落ち込んだことが最大の要因だ。

 自動車や家電、化粧品など幅広い業種で、駆け込み需要の反動の影響が出た。

 また、内需をけん引してきた設備投資も3・7%減と3四半期ぶりにマイナスになるなど、製造業を中心に息切れがみられる。

 実質GDP、個人消費とも下落幅は前回の消費税増税(2014年4月)直後の四半期以来の水準だ。

 政府は消費税率引き上げに合わせ、軽減税率やポイント還元制度などの大規模な増税対策を実施した。にもかかわらず大幅な落ち込みとなったのは、効果が十分に発揮されなかったからではないか。改めて検証する必要があろう。

 GDPをはじめ、先週発表された他の経済指標からも厳しい状況が読み取れる。

 昨年12月の機械受注額は前月比12・5%減で2カ月ぶりのマイナス、1月の貿易収支は3カ月連続の赤字だった。1月の訪日外国人旅行者も前年同月比1・1%減と4カ月連続の前年割れとなった。

 加えて、新型肺炎の影響も心配だ。中国の経済活動が停滞し、サプライチェーン(部品の調達・供給)などに支障が出ており、日本企業も打撃を受けている。

 感染が拡大すれば輸出・内需に悪影響を及ぼし、成長力が一段と鈍る可能性もある。

 当初は政府の経済対策により、夏場にかけて景気は盛り返すとの期待があった。が、楽観できる状況ではなくなった。それだけに、政府の景気判断に違和感を覚える市場関係者は少なくないという。

 日本経済は「危険水域」に入りつつある。政府は「回復」の文言にこだわらず、足元の指数や実体経済を直視して判断すべきだ。