端末を使い、離れた場所にいる人の患部を診る須見院長=石井町藍畑の須見医院

 石井町藍畑の須見医院と、同町で介護事業所を運営するNPO法人あかねの和が、IT機器開発などを手掛ける楽研(東京)と連携し、タブレット端末を使った地域医療介護の実証実験に取り組む。相手の映像を見ながら通話できるアプリの入った端末を病院と施設に配備し、通院することなく要介護者を診察できる態勢の確立につなげる。

 あかねの和は、発達障害児や認知症の高齢者ら約40人が通所する放課後等デイサービスなど町内で5事業所を運営。このうち約20人が通所している施設2カ所と、かかりつけ医である須見医院の間でやりとりする。
 楽研が開発した、テレビ電話や映像撮影ができるアプリを入れた端末を須見医院とあかねの和に無償貸与。端末を通し、施設利用者の病気やけがの診察を行う。日常的な相談にも乗る。電話回線を利用し、通信料は楽研が負担する。
 実証実験に協力する施設を楽研が探していたところ、楽研の関係者と名西区選出の山西国朗県議が知人だった縁で、山西氏が須見医院とあかねの和を紹介した。
9日、須見医院で楽研の青木孝之代表取締役が概要を説明し、須見昌輝院長が端末の映像を見ながら、4日前に耳の後ろに腫れが見つかった施設の90代女性と通話。患部を映像で見て診断した。
 須見院長は「電話だけに比べ、情報量が圧倒的に多い。独居高齢者や仕事の忙しい人にも有効だ」。あかねの和の横野はつみ理事長は「限られた職員数で運営しており、病院に付き添うのも大変。判断に迷った時に見てもらえると助かる」と話した。
 実証実験は6月まで行う。