新型コロナウイルスの感染がついに徳島県内でも確認された。

 感染したのは、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船していた藍住町の60代女性で、無症状だが、20日に下船した後、念のため検査したところ陽性だった。

 船内でのウイルス検査で陰性だったため下船し、帰宅後に感染が確認されるのは、栃木県の60代女性に続き2人目である。外国でも下船前の検査で陰性とされながら、帰国して陽性となる事例も報告されている。

 ウイルスの潜伏期間に当たる2週間の健康観察期間に症状がなければ、問題ないとして下船させた政府の措置は適切だったのか。徹底的に検証しなければならない。

 下船後に陽性となる要因として、主に二つの可能性が考えられる。

 一つは、ウイルスに感染してすぐは体内のウイルス量が少ないことから、陰性になる場合がある。もう一つは、検査後に感染するケースだ。

 藍住町の女性は船内で16~19日に検査を受けたとみられ、客室待機が始まった5日以降に感染した可能性が高い。船内で感染防止対策が徹底されていたのか疑わしい。

 政府は当初、下船後は健康管理は要請するが、日常生活に戻れるとし、公共交通機関での帰宅も認めた。ところが栃木で下船後に感染が判明したのを受け、健康状態の電話確認を毎日行うようにした。米国をはじめ他国の多くは、帰国した乗客を2週間隔離している。政府の措置は後手に回っている感が否めない。

 検査をしないまま乗客23人を下船させていたミスも発覚した。政府の対応はあまりにずさんではないか。

 自治体との連携も不十分だ。徳島県の乗客6人が19、20日、愛媛県の乗客7人は20、21日に下船したにもかかわらず、政府から報告があったのはいずれも23日と遅かった。愛媛県の中村時広知事が「自治体をもっと信頼し、早く連絡してほしい」と苦言を呈したのももっともだ。

 徳島県の下船者への対応にも課題を残した。

 愛媛県は24日に中村知事が記者会見し、県内の下船者の性別や年代、健康状態について説明。栃木の事例を踏まえ、全員にウイルス検査を改めて受けるよう要請し、検査を行ったことを明らかにした。

 同県によると、県民に冷静な対応を取ってもらうためには、正確な情報発信が不可欠との知事の判断で公表したという。

 一方、徳島県は、船内での検査で陰性だったことから下船者については人数しか公表せず、25日に感染が確認された女性の情報のみ開示した。ウイルスの再検査もこれまで下船者に促していない。愛媛県との差は明らかだ。

 県はプライバシーに十分配慮した上で、こまめに情報提供すべきだろう。それが臆測やデマを防ぎ、県民の不安解消にもつながるはずだ。