「闇がある、と思った」。第三者の調査委員会が調査結果とともに示した所見は、教育界全体に向けられた警句と言えるのではないか。

 神戸市立東須磨小学校で起きた教員間のいじめ問題で、市教委が設置した弁護士らの外部調査委員会が報告書を公表した。

 報告書が認定した暴力や暴言などの悪質な行為は125件に及び、日常的に繰り返されていたという。信じがたい頻度だ。

 30~40代の教諭4人が同僚の男性教諭(25)に行っていたのは、激辛カレーを顔に塗ったり無理やり食べさせたりするという、動画で広まったものだけではない。

 「くず」「死ね」など暴言を吐く。スマートフォンで同僚の教諭に性的な文言を送信させる。すね毛をライターで燃やす―。時には、児童の目の前で行っていた。

 加害教諭は「悪意はなかった」と弁明しているが、悪ふざけで済まされる内容ではない。モラルの低さは目を覆うばかりである。

 調査結果を受け、市教委が加害教諭を懲戒免職や休職、減給などの処分としたのは当然だろう。

 報告書が、主因は加害教諭の規範意識の低さにあるとしつつ、同僚の教員が軒並み加害行為を「見て見ぬふり」だったと指摘したのは重大だ。

 前校長の高圧的な言動によって教員が萎縮し、現校長の指導力不足も重なって職員室の風紀が緩んだという。

 前校長の被害教諭に対する暴言も2件認定されている。管理職がそんな状況では、悪質行為の防止など図れるはずがない。

 いじめを防ぐべき立場の教員間で、子どものいじめと同じ構造が築かれていたことには、暗然とする。

 何より必要な対策は、暴力・暴言を許さず、人権を尊重するという意識を植えつけることだ。管理職を含む研修の方法を見直し、風通しの良い職場にすることが急がれる。

 今回の事案を、特定の学校で起きた特異なケースと捉えるべきではない。

 報告書は、同僚教員の「見て見ぬふり」を生んだ原因の一端には、現場の教員が過大なストレスや業務量を抱えている状況もあると指摘した。見過ごせない点である。

 ストレスなどによって休職に追い込まれる教員は後を絶たない。全国の公立学校では一昨年度、病気による休職者が約8千人いて、このうち心の病が5200人余りと65%を占めた。本県も35人いた。

 調査委の弁護士は、東須磨小と同様の事案が「理論上はどこの学校でも起こり得る」と強調した。防止策の一環としては、長時間労働の抑止や業務の見直しなど「働き方改革」を進めることも有効だと助言している。

 閉鎖性と教員の多忙化を改善したい。そのためには、学校運営や行事にPTAや地域が参画することが、ますます求められよう。