情報公開請求で21日に開示された県の公文書。川岸氏の政策参与時代の報酬額が9万円と記されている

 関係者の脱税事案を機に、数々の問題点が指摘されている「とくしま国民文化祭記念管弦楽団(とくしま記念オーケストラ)」事業を巡る徳島県の情報公開に対する姿勢が一貫性を欠いている。昨年は開示していた事業費の内訳を、問題発覚後に非公開にしたり、公開を拒み続けてきた「個人情報」を議会であっさり開示したりと、場当たり的対応が目立つ。県の都合に応じた恣意的な運用と取られかねず、不信感が増しそうだ。
 
 脱税問題が表面化する前の2016年秋、県とくしま文化振興課は15年度分の記念オーケストラ事業の予算内訳に関する資料提供を求めた徳島新聞に対し、徳島市の事業委託業者が県文化振興財団に提出した見積書を開示した。
 
 しかし、問題発覚後の取材では14年度以前の見積書の開示について「細かな経費の内訳はイベント業者のノウハウに関わる情報なので公開できない」と回答。情報公開請求があっても開示しない「非公開情報」として扱う考えを示した。昨秋の取材対応は「誤っていた」と説明した。
 
 事業が文化振興財団を経由して民間業者に委託されている点に関しては、県の情報公開窓口の監察課は「県が直接委託していない事業については通常は公開されない」とする。
 
 これに対し、情報公開制度を所管する総務省は「情報公開の可否は県や市町村が条例に基づき個別に判断する」とした上で「総務省では民間委託したイベントの事業費の内訳は開示の対象。委託先から再委託されたケースや芸術家を起用したケースも例外ではない」と説明。県とは異なる見解を示す。
 
 今回の脱税事案で東京地検に告発された音楽プロダクション「アンサンブル・セシリア」(東京)の川岸美奈子代表取締役が県の政策参与を務めていた際の報酬額に関しても県の説明はぶれた。
 
 県は飯泉嘉門知事が5日の記者会見で「個人情報保護などの観点からオープンにはしない」と語るなど、公表を避けてきた。しかし、12日の県議会総務委員会で追及を受けた田尾幹司県民環境部長が「本来は公開されるべきではないのかもしれないが、疑念の払拭(ふっしょく)につながるのであれば」と述べ、方針を一転し、月額9万円だったことを明らかにした。
 
 名古屋市のNPO法人情報公開市民センター理事長の新海聡弁護士は「非公開とするには公開すると実際にどのような弊害が生じるのか具体的な説明が求められる。今回のケースでは見積書の公開で業者が損害を被るとは考えにくく、非公開にすることで脱税の疑いがある人物を保護してしまう恐れもある」と話している。
 
 《徳島県の情報公開制度》県監察課によると、取材への情報提供や情報公開請求への公文書公開の可否は県情報公開条例に基づいて各課が判断する。今回、記念オーケストラ事業の見積書を非公開としている対応は、同条例第8条2項の「公にすることにより法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害する恐れがあるもの」が適用されている。