新型コロナウイルスの影響で休校になり、ひっそりとした小学校の教室

 新型コロナウイルスの影響で、学校が休校になり、卒業式も中止や縮小されている。卒業式といえば、感動的なシーンの一つが合唱だ。卒業生が別れを告げ、在校生が旅立ちを祝う。近年は歌う曲も多様化しているが、涙ながらに歌う姿はいつの時代も変わらない。澄んだピアノの音色と、どこか切ない歌声。今年は「卒業ソング」を歌えない人も多いのかもしれない。

 あなたにとっての卒業の歌は何ですか? こう問われて何と答えますか。もちろん年代や人によって異なる。卒業式で口ずさんだ歌だったり、流行した歌手やミュージシャンの歌だっり。卒業シーズンになれば、毎年思い出すほど印象に残っている人もいるかもしれない。

 昨年2月、徳島新聞夕刊編集部が徳島市内の小中学校に卒業式で予定している曲を聞いた。一昔前なら卒業生は「仰げば尊し」、在校生は「蛍の光」が定番だっただろう。

 回答によると、卒業生が歌う曲で最も多かったのが、「旅立ちの日に」だった。同曲は1991年、埼玉県の中学校の校長と音楽教師が作った。「いま別れのとき 飛び立とう 未来信じて・・・」。爽やかな歌詞と高揚感あふれる曲調が人気を集め、全国に広がった。

 2位は「仰げば尊し」で、伝統を引き継いでいる学校も多いようだ。Jポップの人気曲も見られた。EXILEの「道」や、川嶋あいの「旅立ちの日に・・・」、Kiroroの「Best Friend」、コブクロの「桜」、ゆずの「友~旅立ちの時~」と「栄光の架け橋」などがあった。

 在校した児童が作詞作曲した歌もあった。「この場所で」というタイトルで、2012年度に生まれた。当時6年生だった女子児童が、小学生を対象に毎年募っている県の作曲コンクールに応募した作品。その年のテーマが「友だち」で、卒業時をイメージして作った。素晴らしかったため、卒業式で歌うことになり、以降も歌い継がれている。

 歌は3番まであり、1番は「この場所で ぼくらは出会った 桜並木の下で その日から 笑顔あふれる時間が 流れ始めた・・・」と始まる。2番、3番でも6年間の思い出や友だちの大切さ、旅立ちへの希望を記し、最後は「また会おう この場所で」と結び、再会を誓う。作詞作曲した児童は卒業後、県外に引っ越した。

 応援歌で送り出す中学校もあった。戦後間もなく始まった徳島市陸上競技大会で応援合戦があり、各校では応援歌が作られた。しかし、各校では次第に歌われなくなり、この学校でも中学総体の壮行会で披露される程度になっていたという。

 2015年4月に赴任した同校卒業生の校長が、復活を提案。生徒全員が歌えるよう音楽の授業で練習し、入学式や運動会の行事などに取り入れるようになった。

 今年も各学校で、思い出に残る曲を選び、さまざまな演出を考えていただろう。しかし、多くの学校が卒業式は行っても、在校生や来賓の出席をやめたり、式典時間を短縮したりするようだ。卒業ソングを歌えない卒業生もいるかもしれない。そんな時は、今度会える時でも同窓会でもいい、いつの日かみんなで歌える日が来ると信じたい。「卒業ソング」には、思い出をよみがえらせるとともに先生や友だちの大切さを感じさせてくれる、そんな力がある。(卓)