「対等なパートナーシップは幸せへの一歩」と話す河野さん=徳島市のウィメンズカウンセリング徳島

 2018年、世界に大きなウエーブが広がった性被害を告発する「#MeToo」運動。今年の動きをこれからにつなげていくため、何が必要なのか。フェミニストカウンセラーの河野和代さん(57)=ウィメンズカウンセリング徳島代表、徳島市=に聞いた。

 ハラスメント研修の講師をすることも多いのですが、07年を境に「セクハラ研修はもうやったので、今後はパワハラ研修を」と行政や企業から言われることが多くなりました。全国の労働局へ寄せられたセクハラの相談件数もこの年をピークに減少しています。男女雇用機会均等法の第二次改正法が施行され、企業にセクハラ対策の強化が求められた年ですが、これに反して世の動きは鈍くなっていった。

 セクハラが法に明記されたのは均等法の第一次改正があった1997年です。セクハラの本質は「性差別」と「性暴力」。しかし、これらをどう解消するかという社会の認識がないまま、20年がたってしまいました。

 職場でのセクハラ被害の申し立てはとてもハードルが高い。うわさは広がるし、よほどでない限り、加害者は解雇されない。被害者へのバッシングもある。そんな中で働き続けないといけない。

 結果、「相手にしない」というのが一番面倒が少ない選択肢になった。相談件数の減少は、女性が戦わず、自己防衛に方針転換したことの表れでしょう。でも、それが性差別と性暴力の温存につながっています。

 新しい動きもあります。首都圏では大学生たちが、性的同意(性行為への意思表示)に関する啓発活動を始めています。「あらがわなかったから合意の上の性行為だった」と言われがちですが、彼女たちは「合意を取らない性行為は全て性暴力である」という認識を広めています。

 性差別をなくすにはジェンダー教育も必要です。男女の対等な付き合い方なんて誰からも教わらないまま大人になって、ぎくしゃくした関係しか築けない人も多い。でも、対等なパートナーシップは幸せへの一歩です。

 私の夫は「フェミニズムは僕にとって得。自分だけが責任を負わなくていい」と講演で話したことがあります。男性だって、「頑張れ」と言われて過労死するまで働かされ、しんどいんですよね。男性も自身の性別役割を見直し、肩の荷を下ろしていけばいい。

 女性は互いにつながって、被害を告発した人を守っていきたい。告発できない人も、「ここでなら何でも話せる」という場を持ってほしい。「#MeToo」は、女性たちがつながるきっかけになったんじゃないかと思います。