葉っぱビジネス「彩(いろどり)」の販売支援を行う上勝町の第三セクター・いろどりは年内にも、無料通信アプリ・LINEを活用した販売情報システムを導入する。彩の生産者が、市場の卸売業者からの注文を待たずに、仲卸業者から直接注文を受けられる。生産者は即座に収穫などの作業を始められるため、商品の安定供給や品質向上が期待される。
新システムでは生産者、いろどり、JA、仲卸業者、卸売業者が注文や出荷、欠品状況などの情報を同時に共有できる。例えば、仲卸業者がLINEと連動したシステムに商品や数量を登録すれば、生産者はタブレット端末やスマートフォンなどで注文を確認できる。午前5~8時に注文を受けた生産者は、JAを通じて市場に商品を出荷。卸売業者を経由し、仲卸業者が商品を購入する。
また、新システムは自動で欠品状況を集計し、生産者や仲卸業者にLINEで配信する。出荷可能な生産者がいれば即座に対応でき、一層の効率化が図られる。
現在は、仲卸業者から注文を受けた卸売業者がファクスや電話でJAに連絡し、JAが専用システムにデータを入力している。生産者がタブレット端末などで注文を確認できるのは、午前10時半~11時半ごろ。関東方面への出荷時間の午後1時半に間に合わなかったり、注文のデータが集中してシステムの不具合が起きたりしていた。
昨年6月から、いろどりはLINEを活用し、築地市場(東京)の仲卸業者5社と生産者、JAなどで販売情報の共有を試験的に始めた。従来、注文に対して出荷した割合(対応率)が7~8割程度だった商品の場合、LINEの活用でほぼ欠品なく出荷できている。
長年、彩の商品を取り扱う築地市場の仲卸業者「芋松」の岩井洋知さん(32)は「知りたい情報が確実に手に入り、すごく助かっている。顧客の信頼が高まり、注文も増えた」と話す。
いろどりの大畑悠喜取締役は「いろどりブランドを広めるとともに、IT化が進む市場の新たな流通モデルになれば」と話している。