徳島屈指の化石採集家として知られる鎌田誠一・徳島化石研究会会長(68)=石井町浦庄=が1月に県立博物館へ寄贈した110点を初公開する「鎌田誠一 化石コレクション展」が27日、徳島市の同館で始まった。来館者を太古のロマンあふれる世界へといざなっている。9月24日まで。
展示された110点は鎌田会長が15歳から50年余りかけ、北海道から鹿児島県まで全国70カ所(県内19カ所)の山中や道路トンネル工事現場、採石場などで集めた。年代は100万年前~4億年前。
県内関係では、那賀町で発見した直径30センチのアンモナイトや、鳴門市沖で漁網にかかったナウマンゾウの牙と歯、勝浦町で見つかった棘皮(きょくひ)動物のウミシダなどが並ぶ。宮城県南三陸町で採取した魚竜の肋骨(ろっこつ)の一部などもあり、興味をかき立てられる内容。平均で10センチ以上もあるホタテ類の化石も美しい。
保存状態が良いため学術的な価値は高く、中でもウミシダやスッポンの化石は今後の研究次第で、新種の可能性があるという。
採集の様子を10枚余りのパネルで紹介しており、「徳島の化石ハンター」の異名を取る鎌田会長の情熱が垣間見える。60キロを超える化石を背負って下山したり、急な断崖をはって移動したりと、採集は試練の連続。山中でクマとばったり遭遇したこともあるという。
次世代のため、貴重なコレクションを寄贈した鎌田会長は「化石の世界はまだ知らないことばかり。人間が知っている領域を広げていく作業の醍醐味(だいごみ)を一人でも多くの人が感じてくれれば」と話す。
会場を訪れた原田純子さん(50)=徳島市八万町千鳥、アルバイト=は「夢とロマンを感じる展示。多くの化石をかぎ分ける鎌田さんの嗅覚はすごい」と目を見張っていた。
常設展の観覧料(一般200円など)が必要。月曜休館。土日・祝日と夏休みは高校生以下無料。