雨にぬれ、緑がひときわ鮮やかに見える竹林=阿南市福井町

 竹は古くから日本人の生活と密接に関わってきた植物だ。食用になるタケノコばかりでなく、成長した竹はしなやかで折れにくいため、籠やざる、釣りざお、茶道具などの日用品や工芸品の素材になった。

 阿南市福井町辺りの山あいを車で走ると、手入れの行き届いた竹林に何度も出合う。天を突き、すっと伸びる竹の見事さに見入ってしまう。

 周辺の竹林のほとんどが、タケノコを生産するために植えられたものだという。下草が刈られて均等に竹が群生する様子は、さながら一枚の絵のようで、人の手が入ったゆえの美しさがある。

 緑という言葉は「みずみずしいさま」が転じてできたといわれる。竹の緑を見ると「なるほど」と思う。若竹の鮮やかな黄緑に始まり、年季の入った濃緑まで多様な緑系の色を楽しむことができる。特に雨が降り葉や茎がぬれると、その色合いは一層強調される。

 天気予報で雨の日を選び、阿南まで撮影に出掛けた。茎の表面を水が伝い、しっとりとぬれ、一本一本の竹が光沢のあるさまざまな緑を見せてくれた。風が吹くたびにさあっと葉ずれの音がして、緑が鮮やかに揺れる。目に染みる光景だった。