性教育が十分行われない中、10代で予期せぬ妊娠、出産を経験する女性がいる。学業中断による貧困や社会的孤立、育児能力の不足―。若さゆえのさまざまなリスクを抱えたままシングルマザーとなり、育児の負担を背負うケースも多い。10代で母となった徳島県内の女性2人に、困難の連続だった子育てについて語ってもらった。

県内当事者「男子に性教育を」

 「学校で青春を楽しみたかった。勉強して手に職も付けたかった」。県内に住む赤木彩音さんと山下梨紗さん=いずれも仮名、30代主婦=は同い年の友人同士だ。2人とも10代で母親になった。子どもは大切な存在。後悔はない。ただ「予期せぬ妊娠で失ったもの、得られなかったものもある」と言う。

 赤木さんは県立高1年の時、同級生の彼氏との間に子どもができた。好きな人の子どもを妊娠中絶する意思はなく「通学を続けたい」と担任の男性教師に伝えると、「妊娠を隠せないから無理だ」と言われ断念した。

 山下さんは、専門学校を中退して進路を考え直していた際に妊娠が発覚。動揺したが、小さな命を見捨てられなかった。

 2人は家族のサポートを受けて出産したものの、育児の大変さは想像を超えていた。同級生のように若者らしく過ごすことができないストレスがたまった。

 子どもの父親との関係も悪化。赤木さんは出産後に彼氏と別れた。月3万円と取り決めた養育費は数カ月で途絶え、音信不通になった。山下さんは「お前らのせいで働かないといけない」と暴力を振るわれ、同棲していた家を出た。

 無責任な父親のように2人は現実から逃れられない。「相手は子どもの存在を忘れ、何事もなかったかのように生きている。不公平だ」と口をそろえる。

 当時は避妊の主導権がなく、されるがままだったという。コンドーム以外の避妊方法は知らず、緊急的に服用する「アフターピル」の知識もない。中学では教わらなかった。

 赤木さんと山下さんは現在、新しい家庭を持ち、子どもも成長した。ただ最終学歴は中卒で、職業が限られるのが悩みだ。赤木さんは「自立に向けて力を蓄えている最中の10代での出産は、できる限り避けた方がいい」。

 2人は若者への性教育が不可欠だと強調する。避妊方法や男女の対等性、育児の責任や大変さについて「特に男の子に、しっかり教えてほしい」と言う。

 その上で山下さんは「産め産めと言いながら、若い母親に社会は冷たい。10代の妊娠を女性だけの責任にしないでほしい」。若い母親というだけで偏見に満ちた目で見られ、支援制度も十分でない。産むか産まないか。いずれの選択をしても、女性が孤立することなく支えてもらえる社会を望んでいる。

 公立高、退学勧告や懲戒 学業継続サポート不十分

 

 10代女性が出産のために通学を断念すると、職業選択の幅が狭まって貧困リスクが高まる。学業を続ける方法を模索する必要があるものの、学校側のサポートは不十分だ。

 文部科学省が初めて実施した実態調査によると、2015、16年度に全国の公立高校が把握した生徒の妊娠は2098件で、3割以上が退学した。学校側が退学を勧めたケースは32件で、うち18件は生徒に学業継続の意思があった。

 自宅謹慎や別室指導など「懲戒を行った」のは95件。妊娠が非行行為のように捉えられている実態も明らかになった。

 県教委によると、文科省の調査期間中に県立高校が把握した妊娠は複数件あり、退学した生徒もいる。いずれも本人や保護者の申し出によるもので、学校側が勧めたケースはないという。

 人権教育課は「学業を継続する方法を生徒と一緒に考えていくよう、各校にお願いしている。相手が在校生の場合は父親としての自覚を持つよう指導する」としている。