子ども食堂で食事を楽しむ来店者。県内では開設の動きが鈍い=2016年12月、徳島市内

 徳島県内で、地域の子どもに無料または低額で食事を提供する「子ども食堂」を開設する動きが鈍い。運営資金やスタッフの確保が難しいためだ。県のまとめでは、定期開催している食堂は3市町の計8カ所にとどまり、都道府県別では2番目の少なさ。関係者からは「各食堂の運営者がノウハウを共有して活動の輪を広げる必要がある」との声が上がっており、28日に専門家を招いた会合を徳島市で開く。

 県内の子ども食堂は2016年3月、徳島市で初めて催された。現在、同市に6カ所、三好市と板野町に各1カ所ある。NPO法人や飲食店経営者らが月1、2回開き、貧困家庭の支援につなげているほか、地域住民の交流の場、子どもの見守りの場としての役割を果たしている。
 各食堂とも、運営資金には寄付金などを充てている。東京都や高知県のように、行政による資金援助が行われていないため、資金難から食堂の定期開催を断念するケースがある。調理や子どもの相手をする無償ボランティアの確保も容易ではないようだ。
 徳島市昭和町3で月1回食堂を開くNPO法人フードバンクとくしまの小西由紀事務局次長(47)は「場所代や光熱費がかさみ、赤字が続いている。行政の支援があれば助かる」と打ち明ける。
 三好市池田町マチで月1回催している住吉正己さん(67)=飲食店経営=は、店の収益を運営費に充てている。食材を地元住民に提供してもらったり、高齢ボランティアの支援を受けたりしており「多くの支えが本当にありがたい。個人だけの取り組みでは続かない」と言う。
 こうした悩みは、子ども食堂の運営者に共通していることから、フードバンクとくしまは、課題や運営手法を共有する場を設けようと会合を企画した。「こども食堂安心・安全向上委員会」代表の湯浅誠・法政大教授を講師に招き、徳島市のふれあい健康館で開く。
小西事務局次長は「子どもにとって大切な居場所の子ども食堂が、毎日近所のどこかで開かれるようになればいい」と話した。