多様な立場の人の視点に立った防災対策を進める静岡大の池田恵子教授に、徳島新聞のアンケート結果を分析してもらった。

 ―調査結果に対する評価は。

 地域防災計画と避難所運営マニュアルに盛り込まれた目標や、設置を明記している設備、備蓄品をみると、どの項目もおおむね全国平均より高い。県の防災委員の女性比率も48・1%(2019年)で全国トップ。災害時の要配慮者に目を配るため、福祉分野から多数の委員を加えているのも評価できる。しかし、防災・危機管理部署の女性職員比率はまだ低い。

 ―女性職員を増やすには、どうすればいいのか。

 例えば高知市は各課の女性職員を集めて検討委員会をつくり、女性視点の防災対策を市に提言した。徳島県内で防災を担当する女性職員が一堂に会する機会を設け、意見交換してもいい。連帯して声を上げれば、意思決定に反映されやすくなるだろう。

 ―東日本大震災で、女性にどんなことが起こったのか。

 被災直後の避難所生活では女性特有の物資が不足した。大勢がいる中での授乳や着替えにも苦労した。保育所や介護施設が被災する中で育児や介護の負担が増し、性別役割分担はより強固になったといえる。非正規で働いていた女性も多かったため、被災企業に解雇された人もいた。

 ―混乱に乗じた性暴力も報告されている。

 阪神大震災の時に性被害は、「デマ」と言われバッシングされた。東日本大震災では、有識者による調査が行われ、被災地で性暴力が少なからず起きていると裏付けられた。物資を渡す見返りに性行為を強要するなど、災害時特有の被害が起こり得ると認識されつつある。ただ女性側に自衛を促す風潮も根強く、被害に遭っても訴えにくい。行政や避難所運営者が予防し、何かあれば厳正に対処するのが大切だ。

 ―女性が困難を強いられないよう、どうしていくべきか。

 防災分野に女性参画が必要という意識は浸透し、対策は講じられている。しかし、そもそもなぜ女性が苦しい立場に追いやられるかというと、男女の賃金格差や固定的な性別役割、貧困など社会的要因が関わっている。これらの問題が、女性が災害に立ち向かう力を弱めている。平時から男女の格差を縮め、ジェンダー平等に力を注ぐ必要がある。

 いけだ・けいこ 静岡大教育学部教授、同大防災総合センター兼任教員。「減災と男女共同参画研修推進センター」(東京)共同代表。東日本大震災後に結成された「東日本大震災女性支援ネットワーク」(2014年解散)の運営委員を務めた。