新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、県内の高校も一斉に臨時休校した。基本的に自宅で過ごすことが求められることから、長い時間の使い方に頭を悩ませている生徒も少なくないだろう。そこで有意義に過ごすためのヒントを、ニチヤン編集部で考えてみた。英語のリスニング特訓や原書への挑戦、息抜き方法、弁当の作り方など紹介しよう。

 せっかく手に入れた長い時間だ。思い切って文芸作品の公募にチャレンジしてみてはどうだろう。

 創作活動は、自分自身をじっくりと見つめ直す機会にもなる。将来の夢、友人関係、喜びや悲しみ、悩みについて、じっくり思いを巡らせてみる。授業や部活動、塾などで慌ただしく過ぎていく日々では、なかなか作り出せない時間だ。

 短い小説に初挑戦してみるのもいい。ちょうど6月10日まで「第3回徳島新聞 阿波しらさぎ文学賞」を募集している。400字詰め原稿用紙15枚以内。徳島をテーマに盛り込むことが条件だ。枚数的にハードルは高いかもしれないが、書き始めると案外、はまるかもしれない。大賞の「阿波しらさぎ文学賞」の賞金は30万円。25歳以下を対象にした「徳島文学協会賞」にも3万円が贈られる。徳島新聞電子版に応募要領や受賞作が掲載されているのでチェックしてみよう。

 最終選考委員の一人、佐々木義登徳島文学協会長は「かつて経験したことのない事態に直面し、不安を感じている人も多いと思う。しかし、このような時だからこそ、心を静めて内なる声に耳を傾けてみてはどうだろう」と話す。

 自分は何に美しさを感じるのか。学校や社会の中でどのように人とのかかわりをつむいでいけばよいのか。日々の暮らしを題材に、身近なテーマで小説を書くことには大きな意味がある。「きっと新たな自分と出会える機会となるはず」と力を込めた。

 原稿用紙2枚半から3枚までと一気に書ける分量のコンクールもある。「第5回阿波の歴史小説読書感想文」。短編小説集「阿波の歴史小説40 阿波のお御馳走」に掲載された作品に、若い感性で文章をつづろう。上位入賞作品は次号の「阿波の歴史小説」に掲載されるという特典もある。

 感想文コンクールを主催する「阿波の歴史を小説にする会」によると、中高生からも「阿波の歴史に誇りを感じた」「故郷の伝統文化に触れて心が温かくなった」といった感想文が寄せられ、これまで多数入賞を果たしている。事務局長の鈴木綾子さんは「地域に根ざした歴史小説は珍しく、全国的にも注目を集めている。読みやすいので、楽しみながら挑戦して」と呼び掛けている。

 徳島ペンクラブが主催する「とくしま随筆大賞」も参加しやすい。原稿用紙3~5枚で、内容は自由。上位2作品は、ペンクラブ選集に掲載される。

 徳島新聞朝刊で毎月最終土曜日に掲載している「ヤングカルチャー」にも、ぜひ応募してほしい。この欄は25歳以下限定で、俳句、短歌、詩を募集。学校生活のつれづれや、季節の移り変わりを描写した作品が多く投稿されている。今の気持ちを素直に表現してはどうだろうか。

 毎日、自宅学習ばかりでは息が詰まってしまう。勉強や成績を抜きにして、想像力という自由の翼を広げて創作してみると、自分の違った一面に気づくかもしれない。