マスクが売り切れた棚。需要に生産が追い付いていない=徳島市のチャーリー沖浜店

マスクが売り切れた棚。需要に生産が追い付いていない=徳島市のチャーリー沖浜店

 新型コロナウイルス感染予防のためにマスクを手に入れたいけれど、どこで手に入りますか―。徳島新聞「あなたとともに~こちら特報班」に、こんな声が相次いで寄せられている。県内の量販店などを記者が回ると軒並み売り切れており、メーカーの生産が需要に追い付かない現状を痛感させられた。

 徳島市と北島、藍住両町のドラッグストアやショッピングセンター、コンビニなど30店を訪れた。だが、どの店も売り切れており、店先に「次回入荷は未定」と書いた紙が張られていた。

 徳島市の30代女性は「どの店にもない。自宅にストックはあるけれど、買えないのは不安」と言う。藍住町のある店舗の女性店員は「入荷は不定期。開店前から並ぶ客が多く、すぐ売り切れる」と説明する。

 あるドラッグストアでは、開店前から親子連れや高齢者ら約60人が列をなしていた。この日、入荷したマスクは100袋近く。1人につき1袋を販売したところ、開店から間もなく売り切れた。7枚入りの商品を購入した北島町の40代男性会社員は「7枚あれば2週間はもつので、その間にまた入手したい」と話した。

 日本衛生材料工業連合会(東京都)などによると、国内主要メーカーは2月から24時間態勢で週1億枚の供給を続けるものの、受注が週5、6億枚あり追い付いていない。

 国内最大手のユニ・チャーム(東京)は通常の倍の週2500万枚を製造する。担当者は「受注はこの3、4倍。現状が限界だ」。医薬品大手の興和(名古屋市)は新ラインを整備し、月に最大2700万枚の増産を目指す。

 連合会の担当者によると、今後は店頭に商品が並ぶ回数は増える見通しだ。県内の店舗でも入荷状況が改善されつつあるようで、入荷ゼロが続いていたチャーリー沖浜店(徳島市)では、今月3日に約130袋、5日に約30袋、6日は約20袋の入荷があった。

 とはいえ、女性薬剤師は「まだ不確定な部分が多い。花粉症の需要が重なってマスクを求める客は多い。品切れ状態は避けられない」と語る。県民にマスクが行き届くのは、まだ先のようだ。