世界中で新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中、世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルス感染症について世界的大流行を示す「パンデミック」と表現した。

 感染者数は118カ国・地域で12万5000人に迫っており、各国が協調し全力で対策に当たるよう促した。

 WHOは、インフルエンザを除いてパンデミックの定義や行動指針を明確にしていない。あえてこの用語を使ったのは危機感からだ。

 ただ、パンデミックを表明しても具体的な対応が変わるわけではない。パンデミックは制御不能な流行を意味するため、恐怖をあおるなどの負の効果もある。言葉に振り回されず、冷静に対策を進めることが重要だろう。

 WHOは1月末に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したが、その後の約1カ月半で死者数は約25倍に増加した。感染者や死者、国の数は今後も増えるとみられる。

 ここまで感染が広がったのは、WHOの認識の甘さが原因だ。中国での新規感染者数の減少などを理由に「まだパンデミックではない」と言い続けてきた。

 日本政府の対応が後手に回ったのは、WHOの初動の遅れが影響したからとの声も出ている。今後、各国からの非難は免れまい。

 新型コロナウイルスは、治療薬やワクチンがなく、全容は依然として解明できていない。それでも、感染者の8割は軽症で高齢者や既往歴がある人の致死率が高いなど、分かってきたこともある。

 WHOは各国に、ウイルスに関する科学的知見や感染の抑え込みに役立つ情報を積極的に提供してもらいたい。

 日本政府は引き続き、感染者の集団(クラスター)発生を防ぐ一方、医療態勢の強化に力を入れる方針だ。

 政府の専門家会議は、国内の感染の広がりについて「一定程度、持ちこたえている」との見解を示した。

 学校の一斉休校や大規模イベントなどの自粛が功を奏しているようだ。が、「影響が出てくるのはこれから」との指摘もある。これまで以上に警戒を強めてほしい。

 国民の不安の声は日ごとに高まっている。最大の懸念は経済への影響だ。

 政府は緊急対策第2弾として、感染拡大でダメージを受ける企業や個人への幅広い支援策を盛り込んだ。4月にはさらに緊急経済対策を取りまとめる考えのようだが、市場の動揺は収まりそうにない。

 きのうの日経平均株価は、下げ幅が約30年ぶりの大きさとなる一時1800円を超え、1万7000円を割り込む場面もあった。1週間の下げ幅は計3300円を超え、過去最大を記録した。

 金融・財政政策とも手詰まり感が漂う。感染が沈静化するまでは、実体経済への打撃を和らげる対策を間髪を入れず講じていくしかない。