満月に照らされて咲くハクモクレン。神秘的な光景だった=阿波市の熊谷寺

 ハクモクレンは気をもませる花である。寒い時期につぼみを膨らませ始め、つぼみのままの期間が長い。気温が上がり春の気配を感じるようになっても、なかなか花びらが開かない。

 阿波市土成町の四国霊場8番札所・熊谷寺の仁王門前に1本のハクモクレンがある。植えられた頃から知っており、今では立派な大木になった。

 毎年開花を楽しみにしているが、ここ数年、満開になった姿を見ていない。咲けば淡いクリーム色の花びらが姿を見せるというのに、美しさを保つ期間は短い。強風が吹けばすぐに傷み、茶色く変色してしまう。

 昨年は気付いた時には散っていた。今年は足しげく通い、今か今かと思いつつ花が開くのを待った。やっと今週満開になった。

 かつて、四国山地を夜間登山する際、満月に輝くコブシを見たのを思い出した。暗く沈む山に光り輝く白い花が浮き上がり、幻想的だった。ハクモクレンも同じモクレン科の仲間。同じように見えるかもしれない。

 ちょうど満月と満開が重なっていたので、月の出を待って撮影した。月が姿を現し、開いた花びらのエッジが月明かりに輝きだす。木全体に月光が回り始め、夜空と仁王門を背景に満開の花が浮かび上がった。