英米文学の原書。並べるだけでも存在感がある

高校生へのお薦め本。八百原店長が全力で選書してくれた=徳島市沖浜の平惣徳島店

 高校生が自宅で長い時間を有意義に過ごすヒント、今回のテーマは「英語と読書」。原書で読む英米文学、リスニング、話題の本を、一挙紹介しよう。

 英語圏の文学作品を、英語のまま読む。あまりない経験だろう。慌ただしい普段なら尻込みしていたことに、このまとまった時間を使って取り組んではどうか。四国大文学部長の阿部曜子教授が、原書のペーパーバック版が一般に流通しているもの、翻訳版も文庫本などで手に入れやすい作品を紹介してくれた。

 阿部教授は「英文学を原書で読むことは、絶好の異文化体験になる」と話す。

 普段の英語学習で長文に触れるときには、まず全体に目を通して大意をつかみ、それから各文章を文法的にチェックしたり和訳したり・・・、そんなプロセスを踏むだろう。だが今は辞書を傍らに置いてじっくりとかみしめながら読みたい。

 まずは、村上春樹さんがほぼ全作品を和訳したことで知られるレイモンド・カーヴァーの短編。「Cathedral」(大聖堂)や「A Small,Good Thing」(ささやかだけど役に立つこと)は、奥深く味わいのある作品ながら、文体はすっきりとしている。村上さんの翻訳集も、中央公論社から出版されている。

 一方、中・長編なら、物語全体の構造や筋をつかむことに留意しよう。途中でもためらわずに日本語訳を手に取って、物語を味わいたい。マーガレット・ドラブルの「TheMillstone」(碾臼)や、ノーベル賞作家であるカズオ・イシグロの「The Remains ofthe Day」(日の名残り)は、肉厚で読み応えのある作品だ。

 楽しく読み進めるなら、ファンタジーやエンターテインメントもいい。ルイス・キャロルやアガサ・クリスティーの作品などは、邦訳を読んだ人も多いだろう。続きが気になることが何よりのモチベーションになる。

 表面的な意味や文法の奥に広がる、物語の豊かな世界を味わうと楽しい。英米文学の読書体験は、自宅にいながらどこまでも遠くへ連れ出してくれるはずだ。

書店お薦めの本

 読書をしようにも、何を手に取ったらいいか分からないまま、気が付けばスマホに夢中・・・。そんな読書ビギナーでも堪能できる作品を紹介する。平惣徳島店(徳島市沖浜)の八百原勝店長が全力で選書してくれた。

 今、読書好きの高校生の間で話題を集めているのは「ムゲンのi<上下巻>」(知念実希人)。精神科医が奇病とその裏にある事件に立ち向かうミステリー小説で、アイデアを詰め込んだスリリングな展開に引き込まれる。昨年、同店で行われたサイン会では、参加者の3割が高校生という人気ぶりだった。今年の「本屋大賞」にもノミネートされている注目の一冊だ。

 ライトノベルなら累計600万部を誇る人気シリーズ「薬屋のひとりごと」(日向夏)が一押し。とある大国の宮中で働く薬師の娘が、さまざまな事件を解決していく。「圧倒的に面白い。今ライトノベルなら間違いなくこの作品」と八百原店長も絶賛する。

 ページを繰るたびに物語が展開していく楽しさを味わうなら、漫画もいい。「青のオーケストラ」(阿久井真)は、バイオリンでかつて天才少年と呼ばれた主人公が、出会いを通じて再び音楽に向き合っていく物語。既刊が6巻までなので、一気に読んで最新話まで追いつける。

 社会で向き合うべき課題や、将来を考えるヒントを与えてくれるノンフィクションやビジネス書もある。

 貧富やジェンダー、人種といったテーマを考え、乗り越える力になるのは「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(ブレイディみかこ)。思春期の息子との生活を母親の視点から描いたノンフィクションで、テレビ番組で取り上げられると、平惣各店でも1週間で数十冊を売り上げた話題作だ。

 京都にあるステーキ店「佰食屋」の従業員ファーストの経営方針を社長自らが語った「売上を、減らそう。」(中村朱美)や、人気書家がマインドセットを指南する「ポジティブの教科書」(武田双雲)も、重要な気付きが得られる。いずれ社会に出る高校生にとって、人生を豊かにする指針となるはずだ。

<リスニング>ニュースやアプリ活用を

 今や世界的なニュースになった新型コロナウイルス。「ウイルス」や「パンデミック」ってよく聞くけど、本当はどう発音するの? 日本の状況は海外でどう受け止められているの? グローバルな視点が欠かせない現代、ニチヤン編集部が英語で情報を集めるヒントをお届けする。

 イギリスの公共放送「BBC」がニュースを聞いてリスニング力を鍛えられる動画を無料で公開しているほか、AMラジオのNHK第2は語学学習の番組も豊富だ。ユーチューブ、ポッドキャストなどのウエブサイトやアプリでも、時事問題などが英語で配信されている。

 この機会に触れてみて、リスニング能力を高めてはどうだろうか。